ルピア安の進行受けインドネシア中銀が利上げ決める

ルピア安の進行受けインドネシア中銀が利上げ決める
 インドネシア中央銀行は8月29日、臨時の金融政策会合を開き、急速な通貨ルピア安進行による金融・経済情勢への悪影響を考慮し、政策金利の中銀レートを0.50%引き上げ7.00%とすることを決めた。また、市中銀行が中銀に預け入れる際の金利である翌日物預金ファシリティー(FASBI)金利も0.50%引き上げ5.25%とした。
 インドネシア中央銀行は今月15日の月例会合では政策金利据え置きを決定していたが、その後、通貨安などが急速に進行していることから、29日に臨時会合を開き、利上げを決めたもの。

 

緊急経済対策「効果は2週間後から」 ハティブ財務相

緊急経済対策「効果は2週間後から」 ハティブ財務相
  地元メディアによると、ハティブ・バスリ財務相は8月26日、国立インドネシア大学で行った講演の中で、23日に発表された緊急経済対策の効果について「2週間後に表れ始める」、混迷する為替市場については「1カ月後に改善に向かう」などの見通しを明らかにした。
 また、緊急経済対策を進めるための細則に署名したことも発表した。これは、奢侈(しゃし)品とされながら、現状では生活基本物品となっている製品に対する奢侈品販売税の減免、港湾・空港などの保税地域の規制緩和に関する各細則。

IDXの総合株価指数が13カ月ぶりに4000の大台割れ

IDXの総合株価指数が13カ月ぶりに4000の大台割れ
 インドネシア証券取引所(IDX)の総合株価指数は8月27日、終値で前日比3.71%下落し、3967.842を記録し、2012年7月以来13カ月ぶりに4000の大台を割り込んだ。米国の金融緩和政策の縮小を巡る動きで、インドやタイなど他の新興国の株価とともに下落した。ルピアの対ドルレートとともに大幅に下落した19日から、経常赤字悪化などの要因で引き続き海外投資家のインドネシア株の売り圧力が強いことを反映した。

 

インフレ9%台への上昇を懸念 アグス中銀総裁が見解

インフレ9%台への上昇を懸念 アグス中銀総裁が見解
 地元メディアによると、インドネシア中央銀行のアグス・マルトワルドヨ総裁はこのほど、8月のインフレ率が事前予想の前月比0.93%増を超える1%以上、今年のインフレ率が事前予想の前月比7.8%増を上回る9%前後に上昇するとの懸念を示した。
 アグス総裁は8月、牛肉や鶏肉の価格が高水準で推移していることに言及。食料価格高騰による市民の負担を軽減するために、政府に対し、食糧供給の改善、調整政策を直ちに取るよう求めたという。

通貨防衛へインドネシア政府・中銀が緊急経済対策

通貨防衛へインドネシア政府・中銀が緊急経済対策
 経済成長の鈍化と資金流失の加速に苦慮するインドネシア政府・中央銀行は8月23日、①貿易収支の改善②投資促進・輸出産業の拡大③金融の流動性の向上-などを骨子とする緊急経済対策を発表した。通貨ルピア安の主因となっている経常赤字体質の改善に向け、短期的には一部輸入品の増税や鉱物輸出の制限緩和で貿易収支の黒字化を模索。中長期的には輸出産業育成のため、企業向け税優遇を拡大する。ただ、米国の量的金融緩和の縮小観測が続く中、どこまで実効性があるかは不透明で、手詰まり感は否めない。
 インドネシア中央銀行のマルトワルドヨ総裁は同日の会見で、「通年では経常収支の悪化を封じ込める」と通貨ルピア安を抑制する決意を強調。政府は今年の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しを従来の6.3%から5.9~6.0%に下方修正した。
 23日の株価指数「ジャカルタ総合」は前日比0.04%安い年初来安値の4169.83で取引を終え、政府が打ち出した対策への反応は鈍かった。ただ、市場は政府が輸出産業の育成や金融市場の流動性向上でどんな対策を打ち出すかを重要視している。

インドネシア株下落 ジャカルタ総合指数は高値から20%安

インドネシア株下落 ジャカルタ総合指数は高値から20%安
 8月20日のインドネシア株式相場は4営業日続落となった。指標のジャカルタ総合指数は一時、3カ月前に付けた過去最高値から20%下落した。同指数は現地時間午前10時(日本時間正午)現在、前日比2.7%安の4197.09。この4営業日で11%の下落だ。一時は3.4%安の4167.59まで下げた。
 過去最高の経常赤字で通貨ルピアが2009年以来の安値水準まで売られているうえ、過去4年間で最も急激なインフレ加速で追加利上げ懸念が台頭する中、インドネシア株は7~9月期に入って、世界の株価下落率トップとなっている。

インドネシアの経常収支の赤字拡大 貿易収支なども悪化

インドネシアの経常収支の赤字拡大 貿易収支なども悪化
 インドネシア中央銀行が発表した第2四半期(4~6月)の国際収支統計(速報値)によると、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支は98億4800万米㌦(約9610億円)の赤字となった。貿易収支をはじめとする全項目が悪化し、赤字幅は前年同期から2割、前期から7割拡大した。
 経常収支の赤字は2011年10~12月期以来、7四半期連続。前期まで黒字を維持していた貿易収支は6億100万米㌦の赤字でマイナスに転落した。輸出が伸び悩む中、非石油ガスの黒字が、輸入の増加で大幅に縮小したほか、ガスの輸出も低迷したことが響いた。

中銀が政策金利据え置き決める 外貨準備高さらに減少

中銀が政策金利据え置き決める 外貨準備高さらに減少
 インドネシア中央銀行は8月15日の理事会で、政策金利を6.5%で据え置くことを決めた。同国では6月下旬に実施された補助金付き燃料の値上げなどを機にインフレや通貨ルピア安が加速し、6、7月は2カ月連続で利上げしていた。中銀は「9月以降はインフレは沈静化する」と判断、今月は据え置いた。一方、7月末時点の外貨準備高は前月末比6%減の926億7100万㌦(約9兆円)で、2010年11月以来の低水準となった。

 

来年の選挙結果は今後の経済展望に大きく影響 モルガン

来年の選挙結果は今後の経済展望に大きく影響 モルガン
 米金融大手モルガン・スタンレーは7月30日付のレポートで、インドネシアにおける来年の総選挙・大統領選挙結果が、これまでの選挙以上に同国の今後の経済の行方に大きな影響を与えるとの見方を示した。これは、中国の景気減速や資源価格の下落を背景に、インドネシア経済の成長や安定が損なわれる懸念が高まり、従来以上に”舵取り”が難しくなっているためだ。それだけに、来年以降はこれまで以上に適切な改革を実施する必要があると指摘している。
 この点、モルガン・スタンレーは、インドネシアの有権者は改革志向の候補者を支持する傾向があると分析しながらも、必要な改革を実施する見込みのある大統領候補については明確にはしていない。インドネシアの総選挙は2014年4月、大統領選挙は同7月に行われる予定。