成長率が6%を下回っても金融安定を重視 中銀総裁が見解

成長率が6%を下回っても金融安定を重視 中銀総裁が見解
 地元紙によると、インドネシア中央銀行のアグス・マルトワルドヨ総裁はこのほど、これまで経済成長の最低基準とされてきた6%を下回っても、金融の安定を重視しながら経常赤字を是正していく必要があるとの見解を明らかにした。同総裁は、これまでの高成長は民間消費をけん引役とし、輸入を呼び込んだため、貿易収支の悪化を拡大させてきたと指摘。
 当面は経常黒字を継続的に出していくことが最大の関心事で、赤字になったとしても10億~20億㌦の範囲にとどまるという状態が理想-との考えを示した。そのうえで、6%の成長率を維持するすることが大事なのではなくて、「私たちは経済を安定化させなければならない。金融システムが安定する限り、年間6%以下の成長率でも構わない」と述べている。

官民連携方式のインフラ整備事業が4割程度に BCG予測

官民連携方式のインフラ整備事業が4割程度に BCG予測
 地元紙によると、米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)はインドネシアでは今後、民間企業が参加する官民連携事業(PPP)方式のインフラ整備が増加していくとみている。BCGはインドネシアのインフラ整備が、ブラジル、インド、南アフリカなどと並ぶPPPの一大市場となる可能性があるとし、同国のインフラ整備は今後、最低でも40%をPPP方式で実現できると予想している。
 インドネシア政府は2011年、25年までの経済政策の指針の一つとなる「経済開発迅速化・拡大マスタープラン(MP3EI)」を策定。この中で空港や高速道路など各種インフラ整備に対する投資総額を約4000兆ルピア(約38兆4000億円)と見積もっている。

4~6月GDPは5.8%増と3年ぶり低水準にとどまる

4~6月GDPは5.8%増と3年ぶり低水準にとどまる
 インドネシア中央統計局は8月2日発表した2013年第2四半期(4~6月)の国内総生産(GDP)成長率は、市場の事前予想5.9%を下回る5.8%と、2010年第3四半期以来、約3年ぶりの低水準にとどまった。輸出低迷や、投資と国内消費の減速で、伸び率は4四半期連続の鈍化となった。
 政府は今年の成長目標を6.3%としている。インドネシア中央銀行は7月、これまで6.2~6.6%として成長率予測を5.8~6.2%に下方修正している。

 

6月貿易収支8.5億㌦の赤字 上半期で33億㌦の累積赤字に

6月貿易収支8.5億㌦の赤字 上半期で33億㌦の累積赤字に
 インドネシア中央統計局(BPS)が8月1日発表した貿易統計によると、6月の貿易収支は8億4660万㌦の赤字だった。単月で3カ月連続の赤字。上半期(1~6月)の累積赤字は33億1000万㌦となった。
 6月の輸出額は前月比8.63%減、前年同月比4.54%減の147億4070万㌦。最大の輸出国の中国への非石油・ガス部門の輸出が前月比で約10%減少したほか、日本やASEAN(東南アジア諸国連合)への輸出も落ち込んだことが響いた。
輸入額は前月比6.44%減、前年同月比6.82%減の155億9873万㌦。非石油・ガス部門の輸入が前月比8.82%減の120億584万ルピアだった。中国をはじめとする世界経済の減速や資源価格の下落で輸出は低迷しており、貿易収支の赤字基調は当面続きそうだ。

7月は8.6%上昇 4年半ぶりの高水準 景気減速の懸念

7月は8.6%上昇 4年半ぶりの高水準 景気減速の懸念
 インドネシア中央統計局(BPS)が8月1日発表した7月の消費者物価指数(速報値)によると、前年同月比8.61%上昇した。インドネシア中央銀行の事前予想の8.18%を上回り、2009年1月以来、4年半ぶりの高水準となった。6月下旬に実施された補助金付き燃料の値上げで輸送費が上昇したことや、ラマダン(断食月)で牛肉など食料品の消費が増大したことが主因。レバラン(断食明け大祭)を直前に控え、現時点では国内経済に大きな変化はみられない。ただ、市場関係者の間では、中長期的には輸送費の上昇分の価格転嫁などにより物価が上昇し、インフレが続く大きな要因となり、景気減速への懸念が強まっている。BPSのサスミト次官は、通年のインフレ率が8%台に達するとの予測を提示。政府目標値である7.2%の達成は難しいとの見方を示している。

外貨準備高6月に比べ「7月の減少幅は小さい」中銀副総裁

外貨準備高6月に比べ「7月の減少幅は小さい」中銀副総裁
 地元紙によると、インドネシア中央銀行のペリー・ワルジョ副総裁は、今週末に公表される予定の7月末時点の外貨準備高について、市場介入した分は減少するが、6月に比べれば「7月の減少幅は小さい」との見解を示した。
 国営マンディリ証券のエコノミストは、7月末時点で外貨準備高は940億~960億㌦の範囲と予想。「中銀がルピア安を容認し、市場介入を緩めた今月第3~4週にかけて、外貨準備高は上昇傾向になったため、減少幅はそれほど大きくならない」と話している。

「パニックになる必要はない」大統領がルピア安で見解

「パニックになる必要はない」大統領がルピア安で見解
 地元メディアによると、ユドヨノ大統領は7月29日、大統領選挙が実施される来年の経済情勢を巡る閣議で、対ドル為替相場でルピア安が続いていることに言及し、「パニックになる必要はない。すべての困難を克服し、国の経済を守ることは可能だ」と平静を呼び掛けた。
 インドネシア中央銀行が公表する銀行間の対ドル・ルピア為替取引の参照レートの「ジャカルタ・インターバンク・スポット・ドルレート」(JISDOR)は30日に1ドル=1万277ルピアを記録し、前週末比で12ルピアのドル高ルピア安となった。

スラウェシに経済特区 すでに企業の投資額53兆ルピア

スラウェシに経済特区 すでに企業の投資額53兆ルピア
 地元メディアによると、インドネシア政府は7月26日、北スラウェシ州ビトゥンと中部スラウェシ州パルに今年中に経済特区(KEK)を設ける方針を明らかにした。すでに入居が決まっている企業の総投資額は53兆ルピアという。政府は国内および海外の投資家にジャワ島外の投資を促しており、今回の特区設置ではスラウェシ(セレベス)海を囲み、フィリピンとの交易を促進するなどの狙いがある。
 パルのKEKについて、中国国営鉄鋼の中国中鋼集団、スウェーデンの自動車大手ボルボなど、ビトゥンでは米系製薬会社や地場系大手財閥のリッポーグループ、CTコープなどがそれぞれ投資の意向を示している。

 

インドネシア・ルピア下落に”歯止め”かからず

インドネシア・ルピア下落に”歯止め”かからず
 インドネシアの通貨ルピアは今週に入って、4年ぶり安値まで下落した。インドネシアの国内銀行が公表するレートによると、ルピア相場は1.3%安の1ドル=1万200ルピアと2009年7月以来の安値を付けた。インドネシア中央銀行は7月23日、ルピアが新たな均衡水準に向かっているとの見解を示した。この1年で最も正確なルピア予想を示した4銀行の予想平均によると、年末までに1米ドル=1万240ルピアに達すると見込まれている。

先進国の金融政策変更時は新興国に「明確に意思疎通」

先進国の金融政策変更時は新興国に「明確に意思疎通」
 インドネシアのバスリ財務相は、先週モスクワで閉幕したG20財務相・中央銀行総裁会議で採択された共同声明で、先進国が金融政策を実施する際、新興国への影響を考慮し、政策変更時に「明確に意思疎通する」との、インドネシアを含む新興国の要望が盛り込まれた-との認識を改めてを表明した。これは金融市場を巡ってFRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が先月、量的緩和を縮小する可能性を示唆したことで、投資家の間で早期縮小観測が浮上。緩和により資金が大量に流入していた新興国市場からは、資金の引き揚げが進み、新興国は株安・通貨安に苦しんだことを受けたもの。