インドネシアの主要都市で、2013年1月発効の最低賃金が前年比で4割以上引き上げることになった。ジャカルタは前年比44%増の月220万ルピア(約1万8700円)となった。工業団地が多い西ジャワ州でもボゴール県が同7割強上がるほか、トヨタ自動車などが主力工場を置くカラワン県でも同58%、ブカシ県で同48%上昇する。労働者らによる度重なるデモに押された格好での妥結となった。
大幅賃上げの狙いは、購買力を高めて成長を維持することにある。ただ、大きな問題も内包している。消費増の恩恵を得られる企業が出てくる半面、最低賃金がインフレ率の10倍近く上昇することで、事業の採算性や物価の制御に混乱をもたらす可能性もある。
自動車販売台数 今年は過去最高を更新
インドネシアの2012年の自動車販売台数が通年で過去最高を大きく更新することが確実となった。同国における自動車の販売台数は1~10月累計で92万3132台となっており、2011年通年の89万4164台を上回っている。2012年通年では100万台超えもほぼ確実とみられる。
世界初の設備 石炭から肥料原料 IHIが1000億円受注
IHIはインドネシアで、肥料原料のアンモニアを量産する世界初の設備を建設する。同国の肥料大手、クジャンと共同で実証施設を運営し、2016年をメドに1000億円規模の大型設備を納入する。「褐炭」など割安な低品位の石炭を使うことで、天然ガスを使う場合と比べ製造コストを3割下げられるという。IHIは高温ガス化炉で褐炭を水素などに改質、アンモニアにする技術にメドをつけた。
IHIは14年度、ジャカルタ市近郊で国営肥料大手クジャンと褐炭処理量が1日50㌧程度の実証設備をつくり運営する。初期投資は約50億円。16年度に処理量が1日500~1000㌧の大型設備を建設する。1000億円規模の建設費用はインドネシア側が支払う。
9月の輸出も9.35%減で、6カ月連続の前年割れ
中央統計局が発表した貿易統計によると、9月の輸出額は前年同月比9,35%減の159億㌦で、6カ月連続の前年割れとなった。前月比では13.21%増。工業製品が5.25%、鉱業7.77%それぞれ減少し、農産物は8.40%増加した。1~9月の輸出額は前年同期比6.06%減の1430億㌦。
9月の輸入額は前年同月比1.19%増の153億5000万㌦。前月比では11.12%増だった。1~9月の輸入額は前年同期比9.18%増の1419億7000万㌦。この結果、9月の貿易収支は5億5000万㌦の黒字となり、2カ月連続で黒字を維持。1~9月では10億3000万㌦の黒字だった。
土地収用が難航、大型インフラ開発に立ちはだかる”障害”
インドネシアで政府や企業による土地収用が難航、発電所など大型のインフラ開発が遅れる例が相次いでいる。Jパワーや伊藤忠商事が共同で計画する中部ジャワ州の40億㌦(3200億円)規模の発電事業は、土地収用の手続きが終わらないため、開始が1年ほど遅れる見通しだ。
ジャカルタ郊外にあるスカルノ・ハッタ国際空港と住宅地を結ぶ6兆ルピア(約500億円)規模の高速道路の建設計画でも、土地収用が問題化。完成すれば渋滞解消につながると期待されるものの、住民は政府提案の約7倍の補償金を求め、交渉は難航している。
ジャカルタに次ぐ第2の都市・スラバヤと工業団地があるモジョケルトを結ぶ約36㌔㍍の高速道路も13年から14年以降に遅れる見通し。9月には住民が政府提案の3倍の補償金を求め、すでに開通している区間を封鎖する騒ぎが起きている。
とはいえ、インドネシアは14年に大統領・国会選を控えており、当局が住民の不満や不興を買いかねない土地収用を、強引には進めにくい事情がある。
貿易エキスポの成約額は昨年の2倍超に さらに上積みも
10月17~21日にかけて商業省が主催した貿易エキスポの確定成約額が、昨年の2倍を超える10億㌦(約7960億円)に達した。継続して国営建設会社が南アフリカと周辺諸国で政府系の建物など建設する20億㌦規模の大型案件について、最終協議が進められており、結果次第では今回の目標の20億㌦を上回る可能性もある。バユ・クリスナムルティ商業副大臣が明らかにした。
エキスポには世界95カ国から5430人の輸入業者が参加し、当初の目標1500人を大幅に上回った。輸入業者の国別参加人数はナイジェリア11.27%、マレーシア6.10%、インドおよび米国が4.11%だった。
バンテンとロンボクを観光・経済特区に
インドネシア経営者協会(アピンド)事務次長によると、政府はバンテン州タンジュン・ルスンと西ヌサトゥンガラ州ロンボク島マンダリカを、観光業向けの経済特区に定める方針で調整を進めている。経済特区が両地区に設置されれば、外国からの投資が増加し、観光業が発展する-とアピンドは見込む。観光産業協会会長は、観光への投資がジャワやバリだけでなく、ほかの地域にも波及している現状を指摘。地域間の接続などインフラ整備にも効果が及んでいると強調している。
投資調整庁(BKPM)によると、1~9月の観光産業への外国直接投資は、前年通年と比べて2.8倍の6兆9000億ルピアになっている。
歳入1529兆ルピア,歳出1683兆ルピア 来年の国家予算承認
歳入1529兆ルピア(約12兆7000億円)、歳出1683兆ルピア(約14兆円)の来年の国家予算が国会で可決、承認された。インフラ整備などの資本支出は、8月の大統領案から11%、今年の予算から23%増と大幅に引き上げられたが、総額は216兆ルピアで、国内総生産(GDP)比では2%にとどまっている。
エネルギー向けの補助金は274兆7000億ルピアで、歳出に占める割合は16.3%となった。内訳は燃料向けが193兆8000億ルピア、電力向けが80兆9000億ルピア、非エネルギー向けは42兆4000億ルピア。電力については、来年1月から料金を段階的に15%引き上げることが決定しており、削減した11兆8000億ルピアをインフラ向けに割り当てる方針だ。
日本の経産省が「医療」でインドネシア支援
日本の経済産業省は、医療機器やサービスなど「医療」の分野で企業の海外展開を後押しする。現在計画されているのはインドネシアなど約10カ国で、現地政府の高官に企業の幹部を引き合わせたり、民間の派遣団をまとめたりする。現地で助言できる医師も送り、研修会などを開く。
インドネシアでは生活習慣病の患者が増えているが、治療できる病院が足りない。伊藤忠商事やシステム科学コンサルタンツは医療機器の輸出や人材育成を手掛ける方針だ。
インドネシアでは、国民の約4割が医療保険に入っていない。経産省は同じ職場や地域に住む人が病気やけが、交通事故に備え合う共済保険の紹介も検討している。
第3四半期の外国投資は過去最高 3期連続で記録更新
投資調整庁(BKPM)が発表した今年第3四半期の内外投資統計によると、総投資額は前年同期比25.1%増の81兆8000億ルピアだった。このうち外国からの投資額はルピア換算で同22.0%増の56兆6000億ルピア(約4696億円)に増加し、過去最高を3期連続で更新した。基礎化学(前年比17.6%増)、鉱業(同16.8%増)、運輸・通信(同12.8%増)の伸びが目立った。また、国内投資は同32.6%増の25兆2000億ルピア。
1~9月の総投資額は229兆9000億ルピア、このうち国内投資は65兆7000億ルピア、外国投資は164兆2000億ルピアだった。
国別ではシンガポールが約15億㌦で1位。日本と英国が約7億㌦、台湾とモーリシャスが約6億㌦と続いた。日本は第2四半期の4位から順位を上げた。