新型コロナウイルスのインド変異株の中で最も警戒が必要といわれるデルタ株について、欧州連合(EU)機関の欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、8月末までにEU域内の新規感染の90%を占めるようになるとの見通しを明らかにした。デルタ株は感染力が従来株の1.9倍と強く、ワクチン未接種者の被害が特に懸念されている。
日本においても日を追ってデルタ株の広がりが指摘されており、早晩、新規感染者の過半がデルタ株になるとみられ、ワクチン接種の加速が求められている。
首都圏3県学校の五輪観戦6割解約 感染リスク懸念
東京五輪・パラリンピックの競技を子どもたちに見てもらう「学校連携観戦チケット」の利用を取りやめる自治体が相次いでいる。感染力の強いインド変異株「デルタ株」の広がりもあって、新型コロナへの感染リスクや猛暑に対する懸念などから中止を決めたもの。
多くの競技会場がある神奈川、埼玉、千葉の3県だけでもすでに約17万枚がキャンセルされた。これは3県が確保したチケットの6割にあたり、開催都市・東京でも取りやめる自治体が出ている。
埼玉県では、すべての学校で観戦を取りやめたのは27自治体に上る。神奈川県は観戦予定のある25自治体のうち16自治体がすべての観戦をキャンセルしている。
関西広域連合 水際対策の強化求め国に緊急提言
関西圏の自治体でつくる関西広域連合は6月26日、新型コロナ対策の会議を開き、国に水際対策の強化を求める緊急提言をまとめた。
これは東京五輪の事前合宿で来日して、成田空港の検疫で陽性者が判明したにもかかわらず、その後十分な濃厚接触者の特定過程を経ないまま、成田空港から受け入れ先の大阪・泉佐野市入りしたウガンダ選手団から2人目の感染者が出たことを受けたもの。
提言は、海外選手団の入国に際して陽性者が判明した場合には、濃厚接触者を早期に特定したうえで、検疫所の宿泊施設に留め置くなどの内容。併せて、ワクチン接種を加速するため、国が一時休止している職域接種と大規模接種の申請受付を早期に再開し、すでに申請した企業や大学、自治体に対しては、今後の対応方針を示すよう求めることも決めた。
裁量労働制に時短効果なし 週2時間長い結果に
厚生労働省は6月25日、裁量労働制が適用される労働者の実態調査を公表した。1日の平均労働時間は適用されない労働者より約20分長く、週平均でも2時間以上上回った。したがって、この裁量労働制導入の狙いだった時短につながらず、間逆な結果となっている実態が浮き彫りになった。
調査は2019年11~12月に実施。裁量労働制の有無で分類した計約1万4,000事業所と約8万8,000人の労働者から回答を得た。
福島 原発事故被災12市町村人口回復6割どまり
6月25日発表された2020年国勢調査の速報値で、東京電力福島第1原発事故の影響を受けた福島県の12市町村の人口は2015年の前回調査時と比べ6,072人増えたものの、東日本大震災前の2010年調査が20万5,900人からは、まだ6割にとどまっていることが明らかになった。
県全体は前回比4.2%減の183万4,198人。飯舘村、葛尾村、楢葉町、広野町など住民の帰還が進んでいることをうかがわせたが、第1原発が立地する双葉町はいまだ全町民の避難が続きゼロのままだ。住民の避難先の一つで沿岸部のいわき市は、前回調査から1万7,035人減り、市町村別で全国5位の減少となっている。避難者の帰還に加え、除染作業員らの減少が進んだことが要因。
中国・上海市の最低賃金2年3カ月ぶり引き上げ
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、中国の上海市人力資源・社会保障局は6月23日、同市の法定最低賃金を7月1日から引き上げると発表した。全日制就業労働者(正社員)の月給は、これまでの2,480元(約4万2,160円)から110元増の2,590元に、非全日制就業労働者(パート)の最低時給基準は22元から1元増の23元となる。
法定最低賃金の引き上げは2年3カ月ぶり。今回の上昇率は4.4%で、2019年の2.5%に次ぐ低水準となった。なお交通費や食事、残業などの手当て、深夜残業、危険作業などの特別手当は法廷最低賃金には含まれない。
政府の特例貸付1兆円超,リーマンS後の50倍以上
厚生労働省の集計によると、新型コロナコロナ禍による生活困窮世帯に政府が無利子で貸付する特例貸付は「緊急小口資金」と「総合支援資金」の両方を合わせ、同制度が始まった2020年3月から2021年6月19日時点で総額1兆130億円余(速報値)に達したことが分かった。
内訳は緊急小口資金が2,346億円、総合支援資金が7,784億円。両方を使うと最大200万円まで無利子で借りられる。リーマン・ショック後の影響を受けた2009年度の50倍以上に膨らんでいる。巨額の融資残高は失業、休業、雇い止めなどで、収入の減少が長引いていることを如実に物語っている。
景気は「一部で弱さ」6月判断据え置き月例報告
日本政府は6月24日に発表した6月の月例経済報告で「持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している」とし、判断を据え置いた。この表現は2カ月連続。
個人消費は「サービス支出中心に弱い動きとなっている」が据え置かれ、コロナの影響で旅行や外食などのサービス消費が振るわなかった。輸出は「緩やかな増加が続いている」、生産は「持ち直している」の表現を維持。ただ、住宅建設は前月の「おおむね横ばい」から「底堅い動きとなっている」へ上方修正した。
RCEP協定 受諾を閣議決定 日本政府
日本政府は6月25日、東アジアの地域的包括的経済連携(RCEP)協定の受諾を閣議決定した。4月の国会承認を受け、必要な政令改正などを終えた。東南アジア諸国連合(ASEAN)事務局に受諾書を送る。
RCEPは2020年11月に日中韓やASEANなど15カ国が署名した。ASEAN10カ国と他の5カ国のそれぞれ過半が手続きを終えると60日後に発効する。年内にも発効する可能性がある。参加国のGDPと人口の合計は世界の3割を占める。工業製品を中心に参加国全体で91%の品目で関税を段階的になくす。
日本の世帯平均2.27人,東京「2人割れ」単身化進む
総務省が6月25日発表した2020年国勢調査の集計(速報)で、1世帯当たりの人数の減少が全国で進行している状況が浮き彫りになった。全国平均は2.27人と5年前の前回調査から0.11人減り、東京は1.95人と全国最低を記録、初の「2人割れ」に突入した。以下、北海道2.12人、大阪2.14人、京都2.17人、鹿児島、神奈川2.19人と続いている。これは都市部だけでなく、過疎地を抱える地方など全国で単身世帯が増えている。
社会でどう支える高齢者介護-単身化の進行で
単身世帯の増加が示す社会問題の一つが家族のケアが届かない一人暮らしの高齢者の増加だ。社会としてどう支えていくのか、極めて重い課題を突きつけいる。
日本はこれまで家族による高齢者のケアを期待し、そのことが社会保障費の増大をある程度抑えてきた側面があった。だが、単身世帯の増加で抜本的な見直しを迫られることになる。その結果、社会保障費のさらなる膨張圧力がかかる可能性もある。