インドネシア日系企業の8割がコロナで一時帰国へ

日本貿易振興機構(ジェトロ)が在インドネシア日系企業を対象に実施した、一時帰国に関するアンケート調査によると、企業の82.7%が一時帰国を決定あるいは検討していることが分かった。調査実施期間は7月16~23日。有効回答数は127社。
インドネシアでは6月下旬から急速に悪化した新型コロナウイルス感染状況への懸念や、8月1日からスタートした、日本での海外在留邦人向けワクチン接種プログラムを受けたもの。
すでに一時帰国を決定した企業の実施時期については、8月を挙げる企業が42.6%で最も多く、次いで7月(38.6%)となっている。企業規模別では、大企業の63.4%が一時帰国を決定していると回答する一方、中小企業では51.1%にとどまっている。大企業では「検討中」とした企業も含めると、9割以上が一時帰国に向けた対応をしている。
こうした一方、一時帰国を「検討していない」企業も全体の17.3%あった。駐在員の体制や日本人抜きではオペレーションが難しくなることが主因。

医療体制「もはや災害時」東京は95%がデルタ株

新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボードは8月11日、首都圏などの医療提供体制について「もはや災害時に近い」との見解を発表。これにより、今後は「多くの命が救えない危機的な状況さえ危惧される」と強い懸念を示し、盆休み期間の帰省延期やマスク着用など感染対策の徹底を国民に求めた。また、専門家は全国の新規感染者に関し「急速なスピードで増加傾向が続いている」と指摘。東京都ではデルタ株に感染した人の割合が新規感染者の95%に到達したと推計している。

タイ・バンコクで反体制デモ激化 コロナ拡大は失政

タイの首都バンコクで8月10、11日、プラユット首相の辞任などを求める反体制デモが2日連続で行われた。デモ隊と警察が衝突し、警察がゴム弾や催涙ガスを使用して強制排除する一方、デモ隊は警察車両に火を放つなど衝突が激しくなっている。
地元メディアなどによると、10日は未成年者15人を含む48人が、11日は少なくとも13人がそれぞれ逮捕され、デモ隊、警察双方に負傷者が出ている。
プラユット政権の退陣を求める反体制デモは一時下火になっていたが、新型コロナウイルスの新規感染者が増加してきた6月以降再燃。新型コロナの感染拡大は政府の失政によるものと批判し、軍事費や王室関連予算をコロナ対策に回すことや、ワクチン政策の変更などを求めている。

ミャンマー人サッカー選手を難民認定へ 緊急措置

出入国管理当局が、サッカーのミャンマー人選手を難民認定することが分かった。日本とのサッカーワールドカップ予選出場のため来日後、帰国を拒否して難民認定の申請をしていたピエ・リヤン・アウン選手(27)について、緊急措置として近く正式に決定し、同選手に結果を伝える見通し。
ミャンマーでは国軍に反発する市民への厳しい弾圧が続いている。入管当局は、国軍への抵抗の意思を示し、3本指を掲げる姿が大きく報じられた同選手が帰国すれば、迫害を受ける可能性が高いと判断したとみられる。

「抗体カクテル療法」短期入院の点滴投与で 厚労省

厚生労働省は、新型コロナウイルスの治療薬として承認した「抗体カクテル療法」について、自宅などで療養する患者も短期入院すれば、治療を受けられるよう、東京都など自治体側と調整を進めることになった。
抗体カクテル療法は、軽症から中等症患者を対象に、2つの薬剤を同時に点滴投与することで、抗体が作用してウイルスの働きを抑える治療法。海外の治験では入院や死亡のリスクを70%減らすことが確認されている。

6月末の国の借金1,220兆円超えで過去最高更新

財務省は8月10日、国債や借入金などの残高を合計した国の”借金”が、6月末で1,220兆6,368億円と過去最高更新したと発表した。3月末に比べ4兆1,735億円増加した。新型コロナウイルス対策の歳出や、高齢化で膨らむ社会保障費の増加を税収で賄えず、借金への依存が続いている。2月1日時点の推計人口1億2,301万人を基に単純計算すると、国民1人当たりの借金は約922万円になる。

シンガポール 21年通年GDP見通し6~7%に上方修正

シンガポール貿易産業省は8月11日、2021年通年の実質国内総生産(GDP)の伸び率見通しを6~7%に上方修正したと発表した。従来見通しは4~6%だった。同日発表した4~6月のGDP確報値は前年同期比14.7%と、速報値の14.3%を上回った。新型コロナウイルスワクチン接種が広がる中、製造業などで外需産業が年後半も成長をけん引するとみて、従来見通しを引き上げた。

フィリピン4~6月GDPプラス転換も先行きは不透明

フィリピン統計庁は8月10日、2021年4~6月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比11.8%になったと発表した。前年同期が新型コロナウイルス対策で厳しい行動制限が講じられていただけに、その反動が大きく、6四半期ぶりにプラスに転じた。
ただ、マニラ首都圏などで8月6日からコロナ禍により再び行動制限が実施されており、7~9月期以降の不透明感は強い。したがって、同国経済が早計に4~6月期の延長線上で、回復軌道あるとの判断はできない。

中国でデルタ株 17省で870人確認 再流行の兆し

中国で新型コロナウイルス変異株「デルタ株」の感染が確認された。江蘇省南京市で7月20日、1月以来半年ぶりにデルタ株の感染者が確認され、8月9日までに17の省で約870人の感染が確認されている。
江蘇省楊州市では3つの麻雀店でクラスターが発生した。これを機に江蘇省では4万軒以上に上る雀荘の営業が停止された。湖北省武漢市では1年3カ月ぶりに感染者が確認され、再度のロックダウン(都市封鎖)を恐れて買いだめが起こった。このため、高速道路の料金所ではスマートフォンの移動履歴を提示するよう呼び掛ける対策が取られた。
上海では8月3日以降、オフィスビルなどに入る際には、健康コードや移動履歴の提示が必要となっているほか、マスクを着用するなど市民の意識も変化してきている。

気温1.5度上昇10年早まる「極端現象」頻発 IPCC

世界各国の科学者でつくる国連の気象変動に関する政府間パネル(IPCC)は8月9日、地球温暖化に関する報告書を8年ぶりに公表した。これによると、産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇幅が、2021~2040年の間に1.5度を超える可能性が高いという。1.5度上昇するとの時期が、従来の分析よりも10年早まった。
温暖化が進めば、すでに現在、世界各地でみられ、甚大な被害を出している熱波や干ばつ、豪雨などの「極端現象」の頻度や強さが増すと指摘。温室効果ガスの排出を削減するよう警鐘を鳴らしている。