S&Pが格付け見通しを改革停滞で「安定的」に引き下げ

S&Pが格付け見通しを改革停滞で「安定的」に引き下げ
 米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は5月2日、投資適格1段階手前「ダブルBプラス」で据え置いているインドネシア長期国債の見通しを「ポジティブ(強含み)」から「安定的」に引き下げた。燃料補助金の削減など財政改革が進まないためだ。米ムーディーズ・インベスターズ・サービスも5月6日、補助金削減の遅れは信用力にネガティブだとする声明を発表した。

第1四半期GDPは6.02% 個人消費減速で予想下回る

第1四半期GDPは6.02% 個人消費減速で予想下回る
 インドネシア中央統計局が5月6日発表した第1四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.02%増で、過去2年で最も小幅な増となった。前年同期比5.17%増にとどまった個人消費の減速や、同0.43%のマイナス成長となった鉱業分野の縮小が響いた。インドネシア中央銀行は第1四半期のGDP目標を6.2%としていた。
 構成比は家計支出が55.64%、政府支出が6.81%、住宅や設備への投資である固定資本形成が32%など。地域別はジャワ57.79%、スマトラ23.99%、カリマンタン8.89%、マルク4.7%、ヌサトゥンガラ4.33%。第1四半期の名目GDPは2146兆4000億ルピア。第2四半期以降、政府は燃料補助金削減政策を実施する可能性があり、成長率の減速が懸念されている。

ASEAN3カ国と年内に通貨交換協定締結 進出企業支援

ASEAN3カ国と年内に通貨交換協定締結 進出企業支援
 日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)は5月3日、財務相・中央銀行総裁会議を開き、新たな金融協力の枠組みをつくることで正式に合意した。日本はすでに協定を結んでいるインドネシアやフィリピンに加え、年内にもタイ、マレーシア、シンガポールの3カ国と2国間の通貨交換協定を締結するほか、日系企業が現地通貨を調達しやすい仕組みもつくる。インドネシア、フィリピンとは交換通貨額を増額する。これにより、ASEAN諸国との結びつきを強め、アジア市場の成長を取り込みたい考え。
 今回合意した新たな金融協力の柱はASEAN域内の日系企業の現地通貨での資金繰り支援だ。邦銀が現地の銀行から現地通貨を借りる際に、国際協力銀行(JBIC)が返済を保証する仕組みも新設する。この背景には日系企業の東南アジア戦略の加速がある。ASEAN各国に数多くの企業が進出、下請けの中小・零細企業も含め産業集積が急速に進んでおり、進出先の現地通貨で取引するニーズが高まっていることがある。

3月の貿易収支は6カ月ぶり3億500万㌦の黒字に

3月の貿易収支は6カ月ぶり3億500万㌦の黒字に
 インドネシア中央統計局が5月1日発表した貿易統計によると、3月の貿易収支は3億500万㌦(約300億円)の黒字となった。単月の黒字は昨年9月以来6カ月ぶり。2月は2億9870万㌦(改定値)の赤字だった。輸出が前年同月比13%減の150億㌦と振るわなかったが、輸入も石油・ガス以外が減少、10%減の147億㌦にとどまった。この結果、1~3月の貿易収支は6750万㌦の赤字となっている。前年同期は27億7000万㌦の黒字だった。

2013年のGDP伸び率は前年比6.5% 財務相が見通し

2013年のGDP伸び率は前年比6.5% 財務相が見通し
 ロイターによると、インドネシアのハッタ財務相(経済担当調整相)は4月30日、2013年の同国の国内総生産(GDP)伸び率が6.5%になるとの見通しを明らかにした。2014年については総選挙、大統領選挙の時期に経済活動が活発化するとして6.4~6.9%を見込んでいる。2012年のGDP伸び率は6.23%だった。

人の移動の自由化を加速 ASEAN首脳会議閉幕

人の移動の自由化を加速 ASEAN首脳会議閉幕
 ブルネイの首都バンダルスリブガワンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が4月25日閉幕した。各国は国境を越えた人の移動の自由化を加速することで一致。ビジネス関係者のビザ免除制度や、域外観光客向けの複数国共通のビザを導入する。投資・サービスや観光の促進で域内競争力を高め、2015年末発足を目指す「ASEAN経済共同体」の創設に弾みをつける。
 導入を進めることで合意した新制度「ASEANビジネストラベルカード」は、域内を商用目的で頻繁に行き来するビジネス関係者に交付。カード保有者は数カ月の滞在ならビザ取得の必要がなくなる。現在、ミャンマーでビザ取得が必要なほか、他国も商用の入国・滞在は1カ月程度しか認めていない。出張者は入国審査の際、長時間待たされることも珍しくなかったが、今後は専用レーンを使った簡単な手続きで済む。
 インドネシアのマルティ外相は4月25日、同制度について、対象を域外に広げる可能性があると語り、将来的な適用範囲を日本、中国、韓国などに広げる可能性を示した。

ミャンマーとの経済協力加速させ貿易額10億㌦へ倍増目指す

ミャンマーとの経済協力加速させ貿易額10億㌦へ倍増目指す
 東南アジア歴訪中のインドネシアのユドヨノ大統領は4月23日、ミャンマーのネビドーでテイン・セイン大統領と会談し、両国間の今年の貿易額を前年の総額4億7000万㌦から倍増の10億㌦を目指すことなどで一致した。貿易投資の拡大や観光、運輸、農水産業、エネルギー分野、人材交流などで協力していくことを確認した。
 ユドヨノ大統領は民間企業のミャンマーへの投資の後押しなどを通じ、同国の経済発展に向けた支援を約束した。テイン・セイン大統領は、インドネシアの12企業が昨年11月までに2億4100万㌦を投資したことを説明し、今後さらに増えるとの見通しを伝えた。

パーム油の環境品目リスト盛り込みは「留意」にとどまる

パーム油の環境品目リスト盛り込みは「留意」にとどまる
 今回のAPEC貿易相担当会合で議長国を務めたインドネシアが、太陽光パネルなど54品目の環境品目リストに加えるよう提案した天然ゴムやパーム油は、各国の賛同を得られず、閣僚共同声明で「提案に留意する」との表現にとどまった。
 インドネシアは世界全体のパーム油の半分以上を生産する世界最大の輸出国。2011年には生産量約2000万㌧のうち、7割が中国やインド、西欧諸国などに輸出されている。近年はバイオ燃料としての需要も高まっており、増産されている。54品目の環境品目リストは2012年9月、ロシア・ウラジオストクで行われたAPEC首脳会合で、21の加盟国・地域が2015年までに関税を5%以下に引き下げることで合意している。

TPPの推進が重要 スラバヤAPEC貿易相会合閉幕

TPPの推進が重要 スラバヤAPEC貿易相会合閉幕
 21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易担当相会合は21日、インドネシア東ジャワ州スラバヤで2日間の日程を終え、声明を採択して閉幕した。声明は、環太平洋経済連携協定(TPP)など貿易・投資の自由化を目指す取り組みについて「経済連携の重要性を確認する」と明記し、APEC全域を網羅するアジア太平洋自由貿易(FTAAP)構想を実現するための環境整備としてTPPが重要との姿勢を強調した。
 また、自国産業の保護を目的とした輸入制限や外資規制の動きを抑え、自由貿易体制の維持に努めることを改めて確認。2012年のロシア・ウラジオストクのAPEC首脳会議などで合意した「保護主義的な貿易・投資措置の自粛」の期間を1年延長し、16年末までとするようAPEC首脳に勧告する。
 発電所や道路などインフラ整備については「品質が高く、自然災害などの影響を受けにくいインフラ開発投資は経済成長を後押しする」と、日本の意向が反映され、設備の価格だけでなく、耐久性や環境への配慮も重視することが必要との考えが盛り込まれた。

TPP11カ国が日本の交渉参加を正式承認 7月から参加へ

TPP11カ国が日本の交渉参加を正式承認 7月から参加へ
 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加11カ国は4月20日、東ジャワ州スラバヤで担当閣僚会議を開き、日本の交渉参加を歓迎する声明を発表した。日本の参加に支持を表明していなかったカナダもこの日、承認する考えを表明、日本の参加が正式に認められた。これにより、日本は7月の交渉に合流する見通しとなった。
 米国では新たな国と通商交渉に入る90日前に議会に通知する決まりがあり、近く議会に日本の参加承認を通知する。議会手続きが順調に進めば、7月下旬にマレーシアで行われる閣僚会合から参加する見通し。今後11カ国は5、7、9月と3回の会合で議論を深め、10月にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせてTPP首脳会議を開催、年内の大筋合意を目指す。