ムティアラ銀行の事実上破綻を発表 国家損失640億円に
インドネシアの会計検査院(BPK)は、横領・汚職問題につながった渦中の中堅銀行のセンチュリー銀行(現ムティアラ銀行)に対する監査の結果、公的資金などにより国家損失額が7兆4515億ルピア(約640億円)に上ることを明らかにした。預金保険機構(LPS)も事実上、同銀行の経営破綻を発表し、公的資金7兆ルピア余を注ぎ込んだ、いわく付きの銀行の再建は頓挫した。
BPKは12月23日、監査結果を汚職撲滅委員会(KPK)に渡した。これを受けてKPKのアブラハム・サマッド委員長は、政界の中枢の一部および財界にまで疑惑が及んでいる捜査を加速させる考えを示した。当初予定の10倍に膨らんだ公的資金の使途で明らかになったのはばだごく一部だ。捜査は難航しそうだが、早期の全容解明が待たれる
インドネシアの就労ビザ運用は緩まず 柳田氏が明言
インドネシアの就労ビザ運用は緩まず 柳田氏が明言
インドネシアのカルティニ・ムルヤディ法律事務所でマーケティングアドバイザーを務める柳田茂紀氏は12月20日、東京で行われた「インドネシア・ビジネス・リスクと最新トピックセミナー」で講演し、現地の最新事情を紹介した。柳田氏は運用が厳格になった外国人の就労ビザ制度について、「今後緩むことはないだろう」との見方を示した。同セミナーを主催したNNAが報じた。
今年10月にエネルギー・鉱物資源相令が出され、石油・ガス業界の外国人雇用年齢が30~55歳とされたことについて「日系企業は関係は薄いが、別の業界に対して同様の規定が出されないとは限らない」と指摘。動向を注視する必要があると注意を促した。2006年に出された代理店・販売店に関する貿易相令では、外資の販売業者(大規模店などを除く)は消費財販売に地元の代理店や販売店を指名しなければならないと規定されているが、順守されていないのが現状と紹介。ただ、取り締まりが強化される可能性があるため、「ワンタッチでもエージェントをはさんでいた方が良い」とアドバイスした。
サイの生息数が激減 インドネシア国内に100頭のみ
サイの生息数が激減 インドネシア国内に100頭のみ
地元メディアによると、インドネシアサイ保護基金(YABI)はこのほど、インドネシア国内におけるサイの生息数が2005年から700頭も減少し、100頭のみとなっている実態を明らかにした。これは、森林破壊が減少に拍車をかけていることに加え、サイの角や皮膚が漢方薬になるため密猟の対象となっているためだ。
YABIによると、現在インドネシアにおけるサイの生息確認地は西スマトラ州、ジャンビ州、ブンクル州、ランプン州にとどまる。ジャワサイは国内では絶滅しており、世界中で35~45頭しか生息が確認されていない。スマトラサイは現在スマトラ島やマレー半島を中心に、生息数は300頭以下とみられる。カリマンタン島(ボルネオ島)では10月、1990年代に絶滅したとみられたスマトラサイの姿が撮影され話題になった。インドネシア政府は、スマトラサイの生息数を年間3%増加させる目標を掲げている。
「党勢拡大」「政権奪還」の間で候補者選びが加熱
「党勢拡大」「政権奪還」の間で候補者選びが加熱
インドネシアで2014年7月に行われる大統領選を控え、最大野党、闘争民主党の大統領候補を巡る議論が加熱している。この中心にいるのが周知の通り、ジャカルタ特別州知事のジョコウィ氏。同氏はここまで各種世論調査で、2位以下を大きく引き離して、40%近くの支持率を集めリードしている。これで同党の候補者はジョコウィ氏にほぼ絞られたかといえば、事はそう単純ではない。新参の同知事の擁立に反対する古参党員が多いからだ。世代交代が一気に進むことを警戒し、彼らは大統領選3連敗のメガワティ党首を推しているのだ。
これに対し、実務派・庶民派の知事への支持を呼び掛ける若手党員や支持者らが12月18日、全国に選対連絡所を設置すると発表、21日には支持団体「プロ・ジョコウィ(プロジョ)」を設立した。若手党員や支持者らはメガワティ党首には、ジョコウィ氏を大統領候補に選び、国家指導者の世代交代を率先することで、模範を示してほしい」と呼び掛ける。圧倒的なジョコウィ人気を背景とする「党勢拡大」と、「政権奪還」のテーマをどうバランスさせ考えるのか、同党の候補者選びは今後、一段と過熱化することになりそうだ。
見切り発車の国民皆保険1月導入に各所から批判の声
見切り発車の国民皆保険1月導入に各所から批判の声
インドネシアで2014年1月1日に設置予定の社会保障機関(BPJS)が実施する国民皆保険制度に対し、民間保険からの移行など詳細が未確定のまま”見切り発車”しているとの批判が出ている。医療サービスを施す私立病院、福利厚生で自社社員に保険を供与してきた民間企業からは、困惑の声も上がっている。
経営者協会(アピンド)のアディトヤワルマン副会長は12月18日、「経営者たちは民間保険と協力しながら社員に保険を提供している。政府は皆保険への移行詳細を詰めないまま、どう進めるつもりなのか」と強い懸念を表明。2014年1月の皆保険開始を疑問視し、民間企業による制度参加を2年間延期するよう求めている。
インドネシア大学のハスブラ・タブラニ教授(公衆衛生)によると、参加を表明した1040病院のうち、私立病院は一つもない。保険加入者の治療に掛かる費用が不透明なのが理由で、政府は私立が率先して参加できる制度を整えるべきだと訴えている。
KPKがバンテン州知事を憲法裁判事買収容疑で逮捕
KPKがバンテン州知事を憲法裁判事買収容疑で逮捕
地元紙によると、汚職撲滅委員会(KPK)は12月20日、バンテン州知事のラトゥ・アトゥット・チョシヤ氏を、バンテン州ルバック県知事選の正否を巡り、憲法裁判事買収事件に関与したとして、汚職撲滅法違反の疑いで逮捕した。同氏の周囲には不透明な財政運営など多くの疑惑があり、KPKは今後、本人への追及で全容解明を急ぐ。
逮捕容疑は、ゴルカル党系のアミル・ハムザ知事候補、カスミン副知事候補組が落選した9月の正副知事選のやり直しを憲法裁に命じさせるため、弟で建設会社社長のトゥバグス・ハエリ・ワルダナ容疑者(10月に逮捕済み)と共謀し、アキル・モフタル元憲法裁長官に現金1億ルピア(約86万円)を贈与した疑い。
ジャカルタ特別州が補助金付き燃料の販売停止を検討
ジャカルタ特別州が補助金付き燃料の販売停止を検討
地元紙によると、ジャカルタ特別州は渋滞緩和策として、州内の給油所で乗用車に補助金付き燃料を販売することを停止するという荒療治を検討している。これは、首都圏の通勤手段として乗用車から公共交通機関への移行を促す州政府の交通渋滞緩和策の一環。ただ、この販売停止という荒療治、州政府が勝手に断行できない。エネルギー鉱物資源省に決定権があり現在、州と中央政府の間で綱引きが続いているという。
州政府は補助金付き燃料の州内の販売停止を打ち出す一方で、公共交通機関網の整備拡充を進めている、短期的にはトランスジャカルタ、メトロミニ、コパジャといったバス交通のてこ入れをし、長期的にはMRT(都市高速鉄道)、モノレールの建設を進める。7月に首都圏の国鉄が運賃体系を見直し、実質的に値下げになったため利用者が急増したという経緯がある。
州政府の施策が適用されると、首都圏の乗用車は現在1㍑当たり1万ルピアを超える精製度の高い一般燃料を購入しなければならなくなる。補助金付き燃料は1㍑当たり6500ルピア。したがって、ジャカルタ特別州内では実質的に燃料値上げになるわけだ。
ジャカルタを2018年までに「子供に優しい都市」に
ジャカルタを2018年までに「子供に優しい都市」に
じゃかるた新聞によると、ジャカルタ特別州のジョコウィ知事は12月17日、ジャカルタを2018年までに「子供に優しい都市」にするとの方針を明らかにした。民間企業のCSR(企業の社会的責任)活動の資金などを活用し、子供が必要とするサービスの提供やインフラ整備などを進める。同知事は、子供に優しい都市をつくることで、その他の住民にとっても住み良い環境になると強調。「時間を要するが、いま始めなければならない。ジャカルタ全域で進めていく」と意気込みを示した。
宣言にはジャカルタ特別州のほか、国際連合児童基金(ユニセフ)、国家子ども保護委員会(KPAJ)、州の各区、民間のアストラ・インターナショナルなど43機関の代表者らが署名。北ジャカルタ区タンジュンプリオク郡プランプンにある高架道路下で式典を開催した。
今後、緑地面積の拡大や子供用の公園の建設、出生証明書の取得簡易化、読書室の設置、子供のための勉強会の開講などを実施するとした。整備は段階的に進める。東ジャカルタ区クラパ・ドゥア・ウェタンと南ジャカルタ区南ガンダリアの2カ所で試験実施。また州内のRT(隣組)にも読書室や遊び場の設置などで協力を求めるとしている。
路上の物乞い対策で2500万ルピアの罰金 西ジャワ州
路上の物乞い対策で2500万ルピアの罰金 西ジャワ州
地元紙によると、西ジャワ州デポック市は路上の物乞いを減らすため、2014年から寄付を取り締まる。同市は今年、お金を与えた人と受け取った物乞い双方に、それぞれ最高2500万ルピアの罰金か禁錮3月を科す条例を制定。2014年に施行する予定。果たして、この条例が効果を発揮するのか?実はジャカルタ特別州で先例がある。同州は2007年の同様の条例を出したが、取り締まりはほぼ実施されず、有名無実化している。ちなみに、同州の罰金は1万~2000万ルピア、禁錮10~60日だった。
西ジャワ州カラワン工業団地構内に14年末商業施設
西ジャワ州カラワン工業団地構内に14年末商業施設
インドネシアの西ジャワ州カラワンのカラワン工業団地(KIIC)は、構内にレストラン、店舗、銀行、事務所が入居する多目的商業施設「セントラKIIC」の建設を開始した。12月10日、KIIC関係者が集まり、安全祈願祭が執り行われた。同施設は2014年末に竣工する予定。
「セントラKIIC」は、敷地面積約1万平方㍍の半分を使い第1段階として3階建ての施設を建設する。銀行や事務所の一部は利用客がすでに確定している。利用状況をみて、残り用地の開発も進める考えだ。面積約2㌶の賃貸倉庫も計画されている。