周辺地域の最低賃金が州都スラバヤを上回り知事が困惑
インドネシアの東ジャワ州では、周辺地域の自治体の2014年の最低賃金が州都スラバヤを上回る見通しとなり、知事が困惑する事態となっている。同州では11月初旬、スラバヤ市が来年の最低賃金を前年の26%高の220万ルピアにすると発表。ところが、その後発表した同州内のモジョクルト県はスラバヤより20万ルピア高の240万ルピア(前年比40%高)に、パスルアン県は同様に11万ルピア高の231万ルピア(同34%高)にそれぞれ設定した。
11月20日、東ジャワ州のスカルウォ知事はこうした事態に困惑、同州経営者協会(アピンド)や、州内の県・市の最低賃金評議会の担当者と協議。同知事は、強制力はないながらも、「他地域の最低賃金がスラバヤ市より高くなってはならない」との声明を発表した。
ユドヨノ大統領が豪との協力関係の一時停止を発表
ユドヨノ大統領が豪との協力関係の一時停止を発表
インドネシアのユドヨノ大統領は11月20日、オーストラリアの情報機関が同大統領はじめ夫人、政府要人の盗聴を試みた疑惑を受け、同国との軍事演習や情報交換の協力を一時停止したと発表した。豪マスコミによる盗聴報道があった後、プディオノ副大統領がアボット豪首相と会談するなど豪政府に、盗聴疑惑に対する具体的な説明を求めたものの、十分な反応が得られないため。
インドネシア・ブカシで鳥インフルで今年3人目の死者
インドネシア・ブカシで鳥インフルで今年3人目の死者
インドネシア保健省は11月18日、鳥インフルエンザ(H5N1型)で西ジャワ州ブカシ在住の女性(31)が死亡したと発表した。この結果、今年、同型の鳥インフルエンザで死亡した患者数は計3人になった。
古代寺院の遺跡か ジョクジャカルタで瓦・石など発見
古代寺院の遺跡か ジョクジャカルタで瓦・石など発見
インドネシア文化遺産保存局(BPCB)ジョクジャカルタ特別州スレマン県支部は11月15日、ムラティ郡スンブラディ村で行った発掘調査で、彫刻が施され、寺院の一部とみられる石26個と瓦6枚、屋根瓦の端飾り、大鍋や金の飾り板などを発見したことを明らかにした。BPCBの遺跡保存部長は、発見されたものは寺院の上部を構成する部分であるため、地中に大きな寺院が埋まっているのは間違いない。マタラム王国時代のヒンドゥー寺院の可能性があるとみている-と話している。
タンゲラン県 雨季の洪水対策でため池13カ所造成へ
タンゲラン県 雨季の洪水対策でため池13カ所造成へ
地元紙によると、バンテン州タンゲラン県は11月18日、雨季の洪水対策として県内13カ所にため池を造成する方針を明らかにした。県知事によると、頻繁に洪水被害に遭うパサール・クミスやソレアル、トゥルック・ナガなど6地区を造成予定地に想定している。具体的な設置箇所や設計、費用は今後詰めるが、一つの池で20~30㌶、水深8㍍程度の規模になる見通し。同県では2002年に72カ所で観測された洪水被害を、ため池や排水路などを整備を進めることで08年に32カ所、昨年は8カ所まで減少させている。
米研究者らがインドネシアの世界最速の森林破壊を発表
米研究者らがインドネシアの世界最速の森林破壊を発表
米研究者らが11月15日付の米科学誌サイエンスで、2000~12年の間に伐採などによる世界の森林破壊が進行、中でもインドネシアで最も速く進んだとする研究結果を発表した。ただインドネシア政府は、国内における森林破壊の規模はこの研究結果より小さいとする政府記録を挙げ、否定している。これは米メリーランド大などの研究者が、インターネット検索大手のグーグルと協力。期間中に撮影された約65万枚の衛星画像をもとに世界の森林破壊の変化をインターネット上の地図にまとめたもの。
研究によると、インドネシアにおける00~03年の森林の減少面積は年平均100万㌶だったが、11~12年には同200万㌶に増え、この10年ほどの間に倍増ペースで減少していることが明らかになった。この結果、00~12年の減少面積は計1580万㌶に上った。
この研究結果について、林業省のハディ・ダルヤント事務次官は11月15日、伐採後に再緑化される産業林(HTI)などが考慮されていないなど不正確で、実際の減少面積は年45万㌶にとどまっている-と反論。天然林・泥炭地の開発禁止を定めた森林開発の凍結措置(モラトリアム)や、01年の丸太の輸出禁止の導入などが、96~03年に年平均350万㌶に及んだ森林破壊を大きく減らしたと主張している。また、14年1月にインドネシア地理空間情報局(BIG)が、モラトリアムの効果を評価する報告書を発表するとしている。
今回発表された米研究者らの研究結果とインドネシア政府の見解に大きな隔たりがある要因の一つには、産業林の扱いなど、双方の間で森林の定義の違いがあるとみられる。
北スマトラ・シナブン山噴火の降灰で6000人超が避難
北スマトラ・シナブン山噴火の降灰で6000人超が避難
地元メディアによると、インドネシア北スマトラ州カロ県のシナブン山(標高約2460㍍)で11月18日朝、再び発生した噴火は、噴煙の高さが過去最高の上空約8000㍍に達する、2010年8月以来、最大規模となった。同山の噴火活動は9月から相次いでおり、すでに6000人以上が避難生活を強いられ、農作業が止まったままとなるなど周辺住民の生活に影響が広がっている。
火山地質災害対策局(VMBG)は近隣の村で火山灰が1~2.5㌢積もっているのを確認。同山から約20㌔のブラスタギ郡でも降灰があったという。カロ県農業局によると、シナブン山の相次ぐ噴火で今回の噴火以前の時点で、すでに農地1370㌶に火山灰が積もるなどしており、18日の噴火でさらに影響拡大が予想されるとしている。VMBGはシナブン山噴火の警戒レベルを4段階の3番目の「シアガ(警戒)」に設定。国家防災庁(BNPB)によると、18日までに6155人が避難生活を続けている。ただ19日の時点で、北スマトラ州メダン近郊のクアラナム空港に離発着する飛行機に影響は出ていない。
露天商の市場への移転進むが、廃業する店主も続出
露天商の市場への移転進むが、廃業する店主も続出
ジャカルタ特別州で問題を積み残したまま、大通りからの露天商の仮設店舗撤去および、伝統市場への移転が進められている。同州は11月13日、大通りでの営業で交通渋滞の原因になっている露天商843人を、南ジャカルタ・パサールミングの伝統市場へ移転させた。州公社によると、市場周辺には露天商1114人いたが、州が伝統市場への入居を募ったところ、843人が応じた。ただ、空きテナントがあり、まだ募集を続けるという。
同州のジョコウィ知事が、深刻化するジャカルタの交通渋滞の防止策の一環として進める露天商の伝統市場への誘導・移転策は、当該事業者にとって多くの問題を内包していることは間違いない。というのは、移転先のビルは、伝統市場として改修される前は入居者がいない状態だった。しかも、買い物客が足を向けたがらない2階以上にある。客商売の店舗の立地としては極めて難しい条件にある。
今回の南ジャカルタに先行して進められた中央ジャカルタ・タナアバンでの露天商移転の場合も、入居先がビルの2階で予想通り客足が悪く、州による助成を受けているにもかかわらず、廃業する商店主が続出している。ジョコウィ知事は、伝統市場に入居する零細個人商店主らが競争力をつけるべき、それしか根本的な解決策はないとの考えだ。この考え方のもとに、州内35カ所の伝統市場を改装、近代化するとしている。ジャティヌガラ、クバヨランラマなどでも現在、露天商の仮設店舗の撤去作業が進められている。
豪の盗聴報道でイ・豪の亀裂深まる 駐豪大使に帰国指示
豪の盗聴報道でイ・豪の亀裂深まる 駐豪大使に帰国指示
複数の現地メディアによると、豪ABCと英ガーディアン紙豪州版は11月18日、豪州の情報機関が2009年8月、インドネシアのユドヨノ大統領やアニ夫人、ブディオノ副大統領ら10人を”標的”に携帯電話の盗聴を試みていたと報じた。これを受けてユドヨノ大統領は同日、ナジブ・リファト・クスマ駐豪州大使の帰国と、豪州との協力関係の全面的な見直しを決めた。盗聴疑惑を巡っては、ブディオノ副大統領がアボット豪首相と会談するなど関係修復を図っていたが、これで両国間の亀裂は決定的になった。
総選挙控え来年は労働集約型産業の企業収益悪化を警戒
総選挙控え来年は労働集約型産業の企業収益悪化を警戒
現地メディアによると、インドネシアの繊維、靴、玩具業界など労働集約型産業界は、2014年4月に実施される総選挙を控え労働組合の活動が活発化するため、企業収益の伸びはあまり期待できないとみている。繊維産業協会のアデ・スドジャラット会長は、特定政党が”集票装置”として利用するため、労働組合に政治デモへの参加を求める事態を警戒している。このため、同業界は3~4%の成長予測にとどめている。
靴製造者協会のエディ・ウィドジャナルコ会長は、最低賃金を巡る労組の活動を問題視。靴業界も繊維業界と同様、海外からの需要は根強いが、賃金上昇圧力がマイナス要因になるとしている。同業界の来年の成長予測は11%とみている。玩具製造業者協会のスダルマン・ウィジャヤ副会長も、玩具輸出の伸びを7%とみるが、企業収益の圧迫要因として労働運動を警戒している。