インドネシアでUターンラッシュ 空路は11日がピーク
1カ月にわたったラマダン(断食月)が明け、レバラン(断食明け大祭)を祝ったインドネシアの官庁街に喧騒が戻ってきた。官公庁や多くの企業は8月12日が仕事始め。これに合わせ空路のUターンラッシュは前日の11日、ピークを迎えた。スカルノハッタ空港はスラバヤ(東ジャワ州)やマカッサル(南スラウェシ州)、メダン(北スマトラ州)、バリ(バリ州)など各地から帰省客が次々到着した。
陸路は、バンドン(西ジャワ州)からジャカルタに向かうチプララン高速道路で11日、渋滞が発生。公立やイスラム系の学校は18日まで休みのところも多いため、ジャワ島北岸道路(パントゥラ)などでは、この4~5日は帰省先からUターンする利用客で混雑が予想される。
インドネシア・ロカテンダ山が噴火し火砕流で6人が死亡
インドネシア・ロカテンダ山が噴火し火砕流で6人が死亡
インドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州にある小島、パルエ島のロカテンダ山が8月10日、午前4時27分(日本時間同5時27分)ごろ噴火し、約4時間にわたって噴煙を上げた。地元当局によると、この噴火による火砕流に巻き込まれ、浜辺で眠っていた6人が死亡した。6人の遺体はまだ収容されていないが、3人は58~69歳の成人、3人は5~8歳の子供とみられている。ロカテンダ山は昨年10月から活動が活発化し火口から3㌔以内への立ち入りは禁じられていた。
HIV阻止へ刑務所で合法薬物投与の”荒療治”も
HIV阻止へ刑務所で合法薬物投与の”荒療治”も
HIV(エイズウイルス)感染者数が約38万人に達しているインドネシアの刑務所で、ちょっと驚きの予防、治療が施されている。経口摂取による合法的な薬物を投与し、違法薬物依存を断つ”荒療治”が行われているのだ。注射器を使った違法薬物の乱用や売買春など、感染リスクの高い人が集中する点を逆手に取った措置だ。
ジャカルタ東部のポンドック・バンブ女性刑務所の受刑者約1000人のうち半数が薬物関連の犯罪者で、46人がHIV感染者。ここでは個人に合わせた治療が実施されている。特徴は薬物中毒患者に「メタドン」といわれる経口摂取の合法薬物を処方する点だ。薬物乱用で注射器を使い回すとHIV感染のリスクは確実に高まる。そこで、鎮痛薬として使われるメタドンで、エイズ拡大の温床となる注射器を使う違法薬物の摂取をまず断つわけだ。刑務所で処方し、出所後はインドネシア各地にある無料のメタドン処方病院へ通わせるしくみ。保健省の担当者は、刑務所でメタドン服用を習慣化すれば、出所後も違法薬物に手を出さなくなる-と意義を強調している。
エイズ対策に先進諸国が出資する国際機関「世界基金」(本部スイス)が行っているインドネシアへのエイズ対策支援は、最近10年間で1億3800万㌦(約133億円)に上っている。
ゴロンタロ州の空港で着陸した旅客機に牛が衝突する事故
ゴロンタロ州の空港で着陸した旅客機に牛が衝突する事故
インドネシアのスラウェシ島、ゴロンタロ州のジャラルディン空港で8月6日夜、着陸した旅客機が牛にぶつかり、滑走路をオーバーランする事故が発生した。空港当局によると、ジャカルタ発の同便に搭乗していた乗客110人に大きなけがはなかった。事故は、格安航空会社ライオン航空のボーイング737-300型機がジャラルディン空港に着陸した際、滑走路に迷い込んでいた牛3頭のうち1頭に衝突し、発生したという。この牛は旅客機の車輪に巻き込まれたとみられ、パイロットは国営アンタラ通信に、肉が焦げるようなにおいがした-と語っている。
オーバーランした旅客機は尾部だけを滑走路に残した状態で、草地に突っ込んで停止したが、機体に大きな損傷はなかった。ただ、この事故で空港が閉鎖されたことから、レバラン(断食明け大祭)休暇を利用して帰省する人たちの足には影響が出た。
預金150億円 副業で荒稼ぎの警官を書類送検 パプア警察
預金150億円 副業で荒稼ぎの警官を書類送検 パプア警察
インドネシアのパプア警察はこのほど、1兆5000億ルピア(約150億円)の預金を保有していた警察官ラボラ・シトルス容疑者を森林法、石油ガス法違反、資金洗浄の疑いでパプア高検に書類送検した。捜査は国家警察が地元警察を支援する形で行われ、警察は関係者72人を取り調べ、同容疑者の不正な副業の一部が明るみに出たが、地元メディアなどで取り沙汰された地元警察ぐるみの不正事業への関与疑惑の解明には至らず、不透明さが残ったままとなった。
資金洗浄捜査機関の金融取引報告分析センター(PPATK)によると、ラボラ容疑者は実に60口座を持ち、2007~2012年の5年間で預金残高が、9000億ルピアから1兆5000億ルピアまで増えたという。とても尋常な金額ではない。禁じられている副業の木材、燃料の違法取引などで荒稼ぎした結果とみられる。
西ジャカルタの仏教寺院で爆発事件 3人軽傷 不発弾も
西ジャカルタの仏教寺院で爆発事件 3人軽傷 不発弾も
西ジャカルタ・クボンジュルックにある仏教寺院「エカヤナ仏教徒センター」の入口付近で8月4日午後7時ごろ、ビニール袋に入った手製爆弾が爆発した。これにより、参拝中の3人が腕などにかすり傷を負ったが、現場に居合わせた信者の医師の応急処置を受け、帰宅した。警察の調べによると、当時約300人の信者がいたが、この手製爆弾の爆発力が低く、近くのガラス窓や建物に影響はなかった。
ただ、本堂内の下駄箱や仏像付近で不発の小型爆弾2袋ほか、「ロヒンギャ(ミャンマーの少数派イスラム教徒)の悲鳴が聞こえた」と書かれたメモが見つかっている。この点について、国家警察の刑事局長は「ミャンマーでの宗教対立をきっかけに、テロリストが攻撃対象をキリスト教会から仏教寺院に切り替えた恐れがある」と指摘。ミャンマーでの仏教徒によるイスラム教徒弾圧に反発する、イスラム過激派による爆弾テロの可能性を示唆している。
開発と密漁を中止し、スマトラトラの生息地を守れ!
開発と密漁を中止し、スマトラトラの生息地を守れ!
インドネシアの首都ジャカルタで自然保護団体のメンバーら約100人がこのほど、トラに扮し、スマトラトラの生息地での大規模開発と密猟の中止を訴えるイベントを行った。スマトラ島に生息するスマトラトラは、パーム油の原料となるアブラヤシ畑の大規模開発による生息地の減少や、毛皮や骨が目当ての密漁で激減。個体数は1970年代の1000頭から250頭にまで減少、絶滅が危惧されている。
スマトラ島では過去5年間、トラと住民を巡る事件が約400件発生し、住民約40人、トラ約50頭がそれぞれ犠牲になった。また、1998年から2002年にかけ、密漁でトラ253頭が殺されたとの調査結果もある。トラの骨は漢方の材料として珍重され、毛皮とともに中国や韓国に密輸されているといわれる。
メトロミニの運営巡り、州と個人事業主が対立 議論白熱
メトロミニの運営巡り、州と個人事業主が対立 議論白熱
小型バス・メトロミニの運営を巡り、州管轄に一元化したいジャカルタ特別州と運営権の剥奪に反発する個人事業主、運転手の争いで議論が熱を帯びている。今回、メトロミニの運営を巡る議論白熱化のきっかけは7月23日、東ジャカルタ・ラワマングンでメトロミニが引き起こした事故だった。中学生3人を轢き、1人が死亡した。警察は運転手の20代の男性が運転免許とメトロミニ運転手の許可証を持っておらず、ブレーキも利かなかったとした。
運営会社のメトロミニ社はジャカルタ特別州と民間企業の合弁で、州運輸局の管轄。だが、メトロミニの下部の個人事業主1360人が首都圏のメトロミニ3000台を所有している状況にあるため、管理が行き届かないという。事業主が自ら運転手を務める場合もあるが、運転手を雇用している場合もある。この運転手雇用で、運転手が運転免許を保有していないケースが当局の摘発で明らかになった。
州は一元化を検討している。新しく取得する休眠中の国営企業を州営交通公社にし、この公社が運転手を直接雇用する形態に移行。今年11月までに冷房を備えた小型バス1000台を導入し、老朽化した車両を廃棄していく考えだ。これに対し、運営権を剥奪される形となる個人事業主らは猛反発している。
用地収用から警察・軍は撤退を 発電所計画に人権委が勧告書
用地収用から警察・軍は撤退を 発電所計画に人権委が勧告書
インドネシア独立調査機関「国家人権委員会」が政府などに対し、中部ジャワ石炭火力発電所計画の、用地買収交渉からの地元警察と国軍の撤退を求める勧告書を提出したことが8月3日、分かった。同発電所建設計画は日本が官民一体となって進めているもので、地元および周辺地区住民の反対に遭い、7月30日にも建設予定地で反対派住民約500人と、警官隊や軍など約150人がもみ合いとなっている。
今回、同人権委が提出した勧告書は、毎日新聞によると①計画の公式承認まで用地買収交渉中止②建設で農地や漁場を失う失業者向けの雇用・福祉対策の明確化③人権侵害の監視強化④売却強要につながる警官・国軍兵士の交渉からの撤退-などを求め、計画のずさんさと警察や軍による人権侵害への関与を批判しており、計画の実現困難性がさらに浮き彫りになった。
3000万人超が大移動 帰省ラッシュ始まる 空路利用が最高に
3000万人超が大移動 帰省ラッシュ始まる 空路利用が最高に
8月8日ごろに迎えるレバラン(断食明け大祭)を目前に控え、帰省ラッシュが始まった。運輸省は3、4日の両日にピークを迎え、全国各地で故郷を目指す3000万人超の大移動が本格化するとみている。陸路の整備が滞る一方、好調な経済を反映して、空路の利用客が増えている。
公共事業省は、陸路で帰省する人の多くが利用するジャワ島北岸道(パントゥラ)の補修区間は7月30日時点で50%程度にとどまるとしており、混雑時は工事を停止し、通行可能にするという。また、北岸道の迂回道路の整備を進めており、西ジャワ州や中部ジャワ州を通る道路のうち、土砂崩れが多発する地点に重機を待機させ、復旧作業に備えているという。
こうした中、今年の特徴は空路利用者の増加だ。運輸省は飛行機を利用する帰省者は前年比11.7%増で過去最高の375万人に上ると予測。ガルーダ・インドネシア航空やライオンエアなど航空8社がレバラン前後の国内線31路線で合計834便を増便し、国際線もマレーシア航空など10社が30路線で増便の予定。