東京工業大 土星の衛星に多量・高濃度のリン発見 生命育む可能性

東京工業大学の関根康人教授らのグループは、土星の衛星「エンセラダス」(直径約500km)の地下にある海から噴出される水にリンが多く含まれることを発見した。リンはDNAや細胞膜をつくるのに必要で、地球の生命に似た生命が育まれている可能性もあるという。研究成果が6月15日、英科学誌ネイチャーに掲載された。
米航空宇宙局(NASA)などの土星探査機「カッシーニ」に搭載された分析機で、衛星の地下海から噴出する微粒子を解析した。その結果、リンの濃度が地球の海水と比べて数千〜数万倍であることが分かった。リンが高濃度で存在する場所を地球外で見つけたのは初めて。

5月三大都市圏のバイト時給2.4%上昇 飲食と深夜帯に求人旺盛

リクルートがタウンワークなどの掲載情報をまとめた、5月の三大都市圏(首都圏、東海、関西)のアルバイト・パート募集時平均時給は、前年同月比27円(2.4%)高の1,150円だった。新型コロナウイルス感染症法上の「5類」移行により、飲食店の営業時間が広がり、深夜帯の求人が旺盛だった。訪日外国人客の増加を見込んだ求人意欲も反映した。
職種別では飲食店など「フード系」が1,111円と56円(5.3%)上昇し、3カ月連続で過去最高を更新した。「販売・サービス系」でコンビニスタッフが35円(3.5%)高、「アパレル販売」が42円(4.1%)高となった。観光ホテルの「製造・物流・清掃系」は34円(3.0%)上昇し1,154円となった。

UNHCR 増え続ける世界の避難民 推計1億1,000人に 初の1億突破

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は6月14日、紛争や迫害で自国外へ逃れた難民や国内避難民などの総数が、6月5日時点で1億1,000万人に達したとの推計を発表した。世界の避難民は過去最多の更新が続いており、2022年2月に始まったロシアの軍事侵攻を受けるウクライナはじめとして、初めて1億人を突破。2023年に入り、さらに膨らんでいる。グランディ難民高等弁務官は、日本に対し難民の受け入れ拡大を求めている。

1〜5月「人手不足」倒産56件 人件費高騰で前年同期比2.4倍

東京商工リサーチのまとめによると、1〜5月累計の「人手不足」関連倒産は前年同期比2.4倍の56件に上っている。要因別件数をみると、最多が「求人難」の22件(前年同期比57.1%増、構成比39.2%)で、2年連続で前年同期を上回り、2020年(25件)以来、3年ぶりに20件台に乗せた。次いで「人件費高騰」が21件(前年同期ゼロ、構成比57.5%)で、調査を開始した2013年以降で初めて20件台に乗せた。また「従業員退職」が13件(前年同期比44.4%増)で、4年ぶりに前年同期を上回り、2年ぶりに2ケタに乗せた。
経済活動が本格的な再開に動き出しても、コロナ禍で流出した人材が戻らず、人手不足が一気に顕在化した。新規採用が進まない「求人難」に加え、人材確保と定着率アップのための人件費上昇が資金繰り悪化を招き、「人件費高騰」の増加ぶりが際立っている。

5月の熱中症搬送 全国で3,647人 過去2番目の多さ 汗をかく対策を

総務省消防庁のまとめによると、5月に全国で熱中症で医療機関に搬送された人は3,647人(速報値)に上り、2022年の同時期を1,000人近く上回って、5月としては統計を取り始めた2015年以降、2番目に多くなった。防災に関わる62の学会などでつくる団体「防災学術連携体」は、今から体を、汗をかく、暑さに慣らすなど対策に努めてほしいと呼び掛けている。

30年までに女性役員比率3割へ 政府 女性版骨太の方針決定

政府は東京証券取引所プライム市場上場企業を対象に、2030年までに女性役員の比率を30%以上とする数値目標を盛り込んだ女性版骨太の方針を決定した。
方針では、プライム市場上場企業を対象に2025年をめどに女性役員1名以上選任するよう努めるほか、女性起業家の育成・支援や、勤務内容や勤務地、労働時間などを選択できる「多様な正社員」制度の普及、選択的週休3日制の導入に向けた取り組みを促進することも盛り込まれた。
2022年7月時点のプライム市場上場企業の平均女性役員率は11.4%で、女性役員が1人もいない企業は約2割に上っている。

静岡県知事 リニア掘削調査を事実上容認 工事進展の糸口か

静岡県の川勝平太知事は6月13日、リニア中央新幹線のトンネル工事をめぐり、県が一時中止を求めている県境近くの掘削(ボーリング)調査について、事実上容認する考えを示した。7日に開かれた、静岡工区未着工問題を議論する専門部会で、大学教授など有識者で構成する委員から「進めるべきだ」「調査に限れば、大量の湧水には至らない」などの意見が出ていた。JR東海も継続的な対話を前提に、進める方針を示している。これが大幅に遅れている工事進展の糸口になるのか、今後の成り行きが注目される。

吉野ヶ里遺跡「謎のエリア」の石棺から副葬品見つからず

佐賀県の山口祥義知事は6月14日、県庁で記者会見を開き、吉野ヶ里遺跡の「謎のエリア」にある石棺墓の中から人骨や副葬品は見つからなかったことを明らかにした。同遺跡内では県が6月5日から石棺墓の開口作業を進めていた。
この石棺墓が、丘陵頂上部にあることや、石棺の蓋を開けたときに通常、比較的官位の高い有力者の埋葬時に出土する赤色顔料が見つかっていることなどから、副葬品を伴う有力者の墓を示すものが出土するのではないかと期待されていた。
もしかすると邪馬台国の所在地を指し示すような、”歴史的発見”になるかもとの期待感があっただけに、残念な結果となった。一方、調査結果を注視していた邪馬台国の畿内説を唱える専門家や研究者は、一様に安堵したーというのが正直な感想のようだ。

大阪万博の入場料 大人7,500円で調整 運営費膨らみ異例の高額に

2025年大阪・関西万博の運営組織「日本国際博覧会協会」(万博協会)が、入場料を大人7,500円で調整していることが分かった。過去の万博と比べ異例の高額となる。年内に販売を始める見通し。
政府が2019年12月に博覧会国際事務局(BIE、本部:パリ)に提出提出した登録申請書には、入場券の想定価格を44ドル(当時の為替レートで約5,000円)と記載していた。ちなみに、前回のドバイ博は3,000円、愛知博は4,600円だった。
入場料引き上げの要因は、運営費の想定を大幅に上回る膨張にある。当初約890億円と想定していた運営費は物価高などの影響で約60億円増える見込みとなり、2022年時点で入場料を6,000円とする案が浮上。その後、会場内の安全を期すため警備員を増やすなど混雑対策を強化する必要があると判断し、運営費は数百億円膨らむ見通しとなっている。