エーザイ 認知症薬「レカネマブ」中国で優先審査

エーザイ(本社:東京都文京区)は2月28日、米バイオジェンと共同開発しているアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が中国国家薬品監督管理局(NMPA)から優先審査の指定を受けたと発表した。これにより、承認までの期間を短縮できるという。
NMPAによる優先審査は、顕著な臨床的価値を持つ新薬等に対する研究、開発、上市の加速を目的として制定された制度。

鼻スプレー型インフルワクチンを了承 厚労省

厚生労働省の専門部会は2月27日、鼻にスプレーして接種するインフルエンザのワクチン「フルミスト点鼻液」について、製造販売を認める方針を了承した。2歳以上19歳未満が対象。国内で初めて鼻スプレーのワクチンが実用化する。
これはインフルエンザウイルスを弱毒化して鼻から投与するもの。鼻や喉の粘膜から取り込まれて免疫の働きを高める仕組み。
厚労省によると、2022年12月時点で米国や欧州など30以上の国や地域で製造販売が承認されている。

雇調金コロナ特例3月末ですべて終了 厚労省

厚生労働省は2月27日、従業員の休業手当を払う企業を支援する雇用調整助成金で、新型コロナウイルス禍で設けた特例を3月末にすべて終了することを正式に決めた。支給額の上乗せに続き支給要件の緩和も終える。
総支給額が6兆円超に上り、約3年に及んだ雇用の下支えは、中小・零細企業の経営破綻を防いだ半面、長期にわたったことで労働力の円滑な移動を阻んだ側面もあったとも指摘されている。3月中に省令を改正し、4月からは通常の支給要件に戻す。

JTB・KDDI 観光DXで協業 関空に疑似体験ブース設置

JTB(本社:東京都品川区)とKDDI(本社:東京都千代田区)は2月28日、「コロナ後の観光における潜在的課題解決に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)施策実施に係る覚書」を初めて締結したと発表した。
両社による取り組みの第1弾として、3月10〜31日まで関西国際空港内の関西ツーリストインフォメーションセンター関西国際空港で「スマートグラスによる地域観光疑似体験ブース」を設置する。また、今後復活が見込まれる訪日外国人旅行客をターゲットとし、アドベンチャーツーリズムの機会づくりにも取り組む。

24年春卒大学生の「就活」解禁 企業の採用意欲高い

政府が決めたルールに基づく2024年春卒業予定の大学生の就職活動が、3月1日から企業による学生への説明会が始まり本格化した。
就職情報サイトの「マイナビ」が2月に全国の企業を対象に行った調査では、2024年春に卒業する大学生の採用人数を「増やす」と答えた企業の割合は、文系が前年より8ポイント余り高い27.7%、理系が7ポイント高い29.8%といずれも上昇している。増加は2年連続。コロナ禍からの経済回復に伴い、企業の採用意欲は一段と高まっている。
また、採用環境が「厳しくなる」と回答した企業の割合は、文系、理系ともに前年より大幅に増えほぼ半数に上っている。人材の獲得に向け実施したり検討している企業の取り組みとして「初任給の引き上げ」が59.2%、仕事の内容の明確化につながる「職種別採用の導入」が51.5%などとなっている。

ラピダス 北海道千歳市に最先端半導体新工場建設へ

トヨタ自動車、ソニーグループ、NTTなど8社が共同出資し、最先端半導体の国内生産を目指しているラピダス(本社:東京都千代田区)の小池淳義社長は2月28日、北海道庁を訪問、鈴木直道知事と面会し、千歳市の工業団地に量産拠点となる世界最高水準の新工場を建設することを決めたと伝えた。
同団地は新千歳空港に近く、近隣にはデンソーをはじめ自動車関連の産業集積、部品製造会社などが数多く進出しているほか、水資源にも恵まれている半導体産業にとって極めて良好な立地環境と判断した。
ラピダスはベルギーの国際的な研究機関、imec(アイメック)や米IBMとも提携。工場や研究拠点の整備を進める方針を示しているほか、国からも当初の設備整備として700億円の補助を受け、最終的に同プロジェクトに国は3,000億円筒度を投資する。今後量産に向けて5兆円規模の投資が必要になるとみられる。ラピダスは「2ナノ」と呼ばれる最先端の演算用半導体の量産を掲げている。

障害児事故死 大阪地裁 逸失利益 平均賃金の85%判決

大阪地裁が2月27日、障害児事故死の案件で、逸失利益を全労働者の平均賃金の「85%」とする、通常の60%より踏み込んだ判決を下した。これは大阪市生野区で2018年、重機にはねられて亡くなった聴覚支援商学部5年の女児(当時11)、井手安優香さんの遺族が、事故を起こした運転手らに約6,100万円の損害賠償を求めた訴訟。
武田瑞佳裁判長は、就労で得られたはずの「逸失利益」の算定に「全労働者の平均賃金の85%」を用いるべきだとして、約3,700万円の支払いを命じた。武田裁判長は事故で亡くなった安優香さんの学習状況などを個別に検討。他人と積極的に交流していたことを踏まえ、通常より一歩踏み込んだ判決を下した。
争点は逸失利益の算定方法で、運転手側は全労働者平均の6割にとどまる聴覚障害者の平均賃金が妥当だと主張していた。

日産自 26年度に欧州98%へ 世界で電動化加速

日産自動車(本社:横浜市西区)は2月27日、2026年度までに世界で電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など電動車の販売比率を高めるとの方針を発表した。
2021年に公表していた電動車の販売比率を欧州では75%から98%まで高める。日本は55%から58%に上方修正した。一方、中国は40%としていたのを35%に引き下げた。米国の販売比率は2030年にEVのみで40%以上との従来見通しを維持する。この結果、世界全体の電動車の販売比率を従来の40%から44%に引き上げた。

JAXA 宇宙飛行士候補2人を発表 4,127人から選抜

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月28日、新たな宇宙飛行士の候補者として、13年ぶりに実施された宇宙飛行士の選抜試験に合格した2人を選んだと発表した。選ばれたのは世界銀行上級防災専門官の諏訪理(まこと)さん(46)と、日本赤十字医療センター外科医の米田あゆさん(28)。2人は過去最多の4,127人の応募者から選抜された。諏訪さんはこれまでで最年長の合格者。米田さんは女性では向井千秋さん(70)、山崎直子さん(52)に続く3人目で、正式に飛行士になれば現役最年少となる。

京都発スタートアップ団体発足 日米で支援 VCら

日米などの起業家らでつくる有志団体「イノベーターズ・パス」が2月27日、発足した。アップルの創業者、スティーブ・ジョブズ氏がたびたび訪れていたことにちなみ、京都市西京区の西方寺で発足式が行われた。発足式には「イノベーターズ・パス」の創設メンバーやエマニュエル駐日大使ら関係者約20人が参加した。
同団体は主に京都府内に拠点を置くスタートアップ企業を、米国のベンチャーキャピタル(VC)関係者や起業家と引き合わせるなどして、その事業展開を後押しする。シリコンバレーの企業と情報交換したり、米国の投資家らへのプレゼンテーションなど、関係者との意見交換の場の設定などを、在日米国大使館が援助する予定。