インドネシアは東南アジア首位 GDP世銀ランキング

インドネシアは東南アジア首位 GDP世銀ランキング
 世界銀行が先週発表した購買力平価(PPP)から推定した国内総生産(GDP)ランキングによると、世界首位は引き続き米国で、昨年は15兆7000億米㌦。2位が中国で12兆5000億米㌦、3位がインドで4兆8000億米㌦、4位が日本で4兆5000億米㌦だった。東南アジア首位はインドネシアで1兆2230億米㌦(世界16位)、次いで6550億米㌦超のタイ(同21位)、以下マレーシア(同26位)、フィリピン(同29位)、シンガポール(同39位)、ベトナム(同42位)と続いた。

来年の賃上げ率は「上限を20%に」規定検討の動き

来年の賃上げ率は「上限を20%に」規定検討の動き
 インドネシア政府は来年の賃上げ率について、上限を20%とする規定を検討している。ただ、これに対しては労働組合側は強く反発。経営側も労働集約型産業は20%よりさらに低率とすることを望んでおり、今後の調整は難航が予想される。来年の賃上げ論議を提起しているのがヒダヤット工業相だ。同相は「賃上げを最高でも20%とする特別な政策を取る」との意向を表明し、そのうえで「全国規模の賃上げの指標が必要だ。政令を通じて規定するよう提案している」と語っている。
 インドネシア経営者協会(アピンド)のソフヤン・ワナンディ会長は20%の上限案に原則賛成の意向を示しながらも、「労働集約型産業は別に設定すべき」と主張している。労組側は来年の賃上げ率について、補助金燃料値上げによる物価上昇を見込み、今年から50%増を要求するとの方針を示し、経営側から反発の声が上がっている。
 インドネシアでは今年、ジャカルタ特別州や西ジャワ州の一部で40%を超える賃上げが実施されたが、急激な賃金上昇が企業経営を圧迫するとして、経営者から苦情が上がっていた。

 

「7月がインフレ率のピーク」バスリ財務相が見解

「7月がインフレ率のピーク」バスリ財務相が見解
 インドネシアのバスリ財務相は7月20日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するため訪れたモスクワで、インドネシアの「インフレ率は7月にピークを付けるだろう」と指摘。燃料コストの引き上げを受け、インフレ率は加速したが、それも「数カ月」で正常な状態に戻るだろうと述べた。

「9月に物価、為替は安定」中銀副総裁 8月は金利据え置き

「9月に物価、為替は安定」中銀副総裁 8月は金利据え置き
 地元紙によると、インドネシア中央銀行のペリー・ワルジョ副総裁は7月19日、定例政策金融会合で8月は政策金利を据え置くとの方針を明らかにした。米国が金融緩和縮小を示唆したことなどにより、ルピア安の進行とインフレ率上昇の懸念が高まる中、レバラン(断食明け大祭)以降の9月からはインフレ率上昇とルピア安が沈静化する「国内経済の転換点」になるとの認識を示し、経常赤字が解消されていくとの見通しなどを語った。
 FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長の議会証言を踏まえ、「今回の新興国の通貨安は不正確な情報のもとで市場が混乱したことが大きな原因」と分析。米国に対し金融市場への姿勢を明確にすることを求めていく意向を示した。中銀としての市場介入について、「外貨準備高が不足した2005年、08年の水準よりも余裕があり、問題ない」とルピアを買い支える市場介入余力への懸念を払拭した。

ルピアが約4年ぶり安値 1米㌦=1万100ルピアの気配値

ルピアが約4年ぶり安値 1米㌦=1万100ルピアの気配値
 7月19日のアジア通貨市場では、インドネシア・ルピアが気配値で1米ドル=1万100ルピアと2009年9月以来、約4年ぶりの安値を付け、アジア新興国通貨の下げを主導した形となった。現地企業や外資系のドル買いが背景。ただ、最近の新興国の通貨安に共通していえることは、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長の議会証言で、FRBが年内に金融緩和の縮小を開始するとの観測を受けて、アジアから資金が流出する可能性があるとの見方が出ているためだ。

 

「ルピア安はあくまでも外的要因」中銀総裁が強調

「ルピア安はあくまでも外的要因」中銀総裁が強調
 インドネシア中央銀行のアグス・マルトワルドヨ総裁は7月17日、先行きを懸念する見方もある通貨ルピアについて、米国が量的緩和縮小を示唆したことを受けて、「世界的に軒並み新興国の通貨安が進んでいるが、これはあくまでも外的要因によるもの」と言明。そして、「ルピアよりも通貨下落が進んでいる国もある。インドネシア経済に問題はない」ことを強調した。
 ルピア安が進行し、「ジャカルタ・インターバンク・スポット・ドル・レート(JISDOR)」が15日に1万ルピアの大台に到達したことで、さらなるルピア安への懸念が高まっている。17日には1万40ルピアを記録。前日比で4ルピア、15日比では16ルピアの安値となり、市場では「中銀はルピア安を容認せざるを得なくなった」との見方が広がっている。さらに、中銀が為替市場を安定させなければ、輸入比率が高い小麦などの食品を中心に価格が高騰し、早晩、市民生活に大きな影響が出てくるとの指摘もある。こうした観測に対し地元紙は、アジア諸国の通貨が軒並み対ドルで下落する中、「外国投資家は相対的に投資リスクが低いインドネシアで1ドル=1万500ルピア台まで許容範囲と考えている」という、バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチのエコノミストの見解を紹介している。

 

スラバヤ、メダンなど地方都市の投資拡大 開発で活気付く

スラバヤ、メダンなど地方都市の投資拡大 開発で活気付く
 東ジャワ州スラバヤや北スマトラ州メダンなどインドネシアの地方都市でいま、大型都市開発が相次いで計画されている。これらの都市では全国平均を大きく上回る経済成長率を記録し、有力資本による開発計画で活気付いている。首都ジャカルタでは人件費が高騰、慢性的な渋滞が発生する中、地方都市への投資が注目を集めている。
 マスピオン・グループは東ジャワ州を拠点に家庭用品製造・販売や銀行業を展開。同州では約4兆ルピアを投じ、巨大都市開発を表明している。また7月11日、スラバヤのウォノチョロ地区にホテルとオフィス、ショッピングセンターなどからなる6.5㌶規模の複合開発計画を明らかにしている。総投資額は3兆9000億ルピア。
 インドネシア第2の都市スラバヤを擁する東ジャワ州は、09年から全国平均を上回る成長率を維持し、12年は前年比7.3%成長を記録。外国資本投資は同約2倍の約23億㌦、国内資本投資も同11.8兆ルピア増の21.5兆ルピアと右肩上がりを続けている。
 ジャワ島だけでなく、スマトラ島の開発も進んでいる。不動産開発大手アグン・ポドモロは7月12日、商業施設運営シナール・ムナラ・デリを買収し、北スマトラ州メダンに5.2㌶の土地を取得。メダンで最初のスーパーブロックを開発し、3~4年後に5兆ルピアの売り上げを見込んでいる。
 メダン市の算出では2012年の成長率は8.5%だった。今年9月にはスマトラ縦断高速道も着工される。投資調整庁によると、ジャワ島外地域の投資額は11年では103兆2000億ルピアで国内全体の33.3%。12年は137兆6000億ルピアで全体の43.9%を占めている。

 

3年10カ月ぶり5ケタ台 1米ドル=1万ルピア台に下落

3年10カ月ぶり5ケタ台 1米ドル=1万ルピア台に下落
 通貨ルピア相場が7月15日、遂に1米ドル=1万ルピア台に下落した。5ケタ台は2009年9月以来、3年10カ月ぶり。インドネシア中央銀行によると、対米ドルの中値は1米ドル=1万24ルピアで前営業日の9980ルピアから大幅に下落。買値は1万74ルピア、売値は9974ルピアだった。
 中国経済の成長鈍化で東南アジア各国の輸出が大きく減少し、インドネシアにおいても同様に輸出のさらなる減少が懸念される事態となっている。このことがひいては通貨ルピアの下押し要因となり、歯止めの利かないルピア安をもたらしている。

減速懸念強まるインドネシア経済 成長率5.8%に低下も

減速懸念強まるインドネシア経済 成長率5.8%に低下も
 インドネシア中央銀行の、加速するインフレ抑制や通貨ルピア安に歯止めをかけるための6月に続く連続での利上げの実施など、近年6%台の安定した成長を続けてきたインドネシア経済に減速懸念が強まってきた。中銀のマルトワルドヨ総裁も7月11日、政策金利を0.5%引き上げ6.5%とすることを発表した際、持続的な成長を守るための決定だとし、2013年の成長率が前年の6.2%から5.8%に低下する可能性を示唆した。
 中銀は6月、15カ月連続で据え置いていた政策金利を0.25%引き上げたばかり。矢継ぎ早の利上げの背景には、国内外の経済情勢の大きな変動がある。12年半ばから、中国など新興国向けの石炭やパーム油などの資源輸出が収縮。その一方で内需や輸入が活況なことから同年は貿易収支、経常収支ともに赤字に転落した。通貨ルピアは現在1ドル=1万ルピア近辺で推移しており、8500ルピア前後だった11年7月から15%近く下落している。
 ルピア安による輸入物価の上昇に加え、政府は6月22日、懸案となっていた補助金付きレギュラーガソリン、軽油の値上げを断行。7~8月は学校の休暇やイスラム教のラマダン(断食月)と重なり例年、物価の上昇圧力が高まる。この結果、6月に5.9%だったインフレ率は、7月は7%を超える見通しとなっている。
 若年層人口が多く、内需が拡大するインドネシアでは、経済成長率が6%を下回ると、失業者が増え、社会問題が広がるとみられている。それだけに6%成長の維持は至上命題でもある。政府は極めて難しい経済運営を迫られている。