9月の貿易収支は一転、再び6億5720万㌦の赤字に

9月の貿易収支は一転、再び6億5720万㌦の赤字に
 インドネシア中央統計局が11月1日発表した9月の貿易統計によると、貿易収支は6億5720万㌦の赤字となった。8月は5カ月ぶりに黒字を計上したが、9月は石油・ガス部門の輸出の落ち込みや非石油・ガス部門の輸入増加で、再び赤字に転落した。
 9月の輸出額は前月比13.19%増、前年同月比6.85%減の148億1000万㌦。1~9月の輸出額は前年同期比6.25%減の1340億4970万㌦。9月の輸入額は前月比18.86%増、前年同月比0.77%増の154億6650万㌦。1~9月の輸入額は前年同期比1.17%減の1403億620万㌦。

ASEANは日本に覇権競う米中とは違う指導力を期待

ASEANは日本に覇権競う米中とは違う指導力を期待
 欧州の経済統合から半世紀遅れたが、ASEAN(東南アジア諸国連合)も遂に経済統合に踏み込み、2015年末までの経済共同体の創設を決めた。だが現実の交渉は、リーダー役を務める国、すなわちエンジンを欠き、その歩みは遅い。ASEAN諸国が参加する国際首脳会議の場でも、大国・米国と中国に挟まれ、戸惑うASEANの姿が浮き彫りになっている。自由化の難題を突きつける米国、衣の下に力ずくでものヨロイがのぞく中国。そんな両大国に、ASEAN諸国は本心では好意を寄せてはいない。
 そんなASEANの置かれた現況に、日本はどう向き合うのか。強引なトップダウン方式ではなく、幸か不幸か、これまでじれったいほどに、じっくり時間をかけて、企業の供給網を通じ実体経済の結合を深めてきた日本の立場は、明らかに米中とは違う。覇権を競う米中とは違う指導力の発揮を日本に期待している。アジアを重視する日本だからこそ、首脳外交の場で交わされる「アジアにおける日本の役割に期待する」の相手国のコメントに、もっともっと耳を傾ける必要があるのではないか。

10月は8.32%高 消費者物価の上昇率2カ月連続で鈍化

10月は8.32%高 消費者物価の上昇率2カ月連続で鈍化
 インドネシア中央統計局が11月1日発表した10月の消費者物価指数は前年同月比で8.32%上昇した。ただ上昇率は、6月下旬から実施された補助金付き燃料の値上げなどの影響で急上昇した7~8月から2カ月連続で縮小している。

急激な最低賃金引き上げは経済環境の悪化招く 中銀総裁

急激な最低賃金引き上げは経済環境の悪化招く 中銀総裁
 地元メディアによると、インドネシア中央銀行のアグス・マルトワルドヨ総裁は10月28日、2014年の最低賃金について、急激な引き上げは投資環境の悪化を招き、ひいては経済環境の悪化につながると警戒感を示した。同総裁は最低賃金の引き上げについて、補助金付き燃料と電気料金の値上げや、食料品価格の上昇などで労働者の生活が苦しくなっていると、一定の理解を示した。ただ、最低賃金の引き上げは労働者の購買力の向上につながるが、限度を超えた急激な引き上げは投資家の判断に大きく影響し、経済環境の悪化につながるとの見解を表明した。

ブディオノ副大統領が8分野17項目の新経済政策発表

ブディオノ副大統領が8分野17項目の新経済政策発表
 インドネシアのブディオノ副大統領は10月25日、経済立て直しに向けた8分野17項目の新経済政策を明らかにした。来年2月までの実施を目指し、インドネシアにおける事業開始の手続きの簡素化など投資環境の改善を図り、ジャカルタだけでなく、地方も対象に注力する。8分野は①事業開始の簡素化②電力接続③納税と保険④民事訴訟の解決⑤破産の解決⑥土地や建物の所有権の登録⑦開発許可⑧融資取得。
 許認可の地方自治体から総合許認可受付機関(PTSP)に一本化するとしている。だが、地方では機関の設置が進んでおらず、実施を疑問視する声がある。ただ、カマワン・ファウジ内務相は524の地方自治体のうち、474の自治体ですでにPTSPの準備済みとして、年内に全自治体で設立が可能としている。

 

中銀総裁が2014年の国内融資額の増加率減速を予測

中銀総裁が2014年の国内融資額の増加率減速を予測
 現地メディアによると、インドネシア中央銀行のアグス・マルトワルドヨ総裁は10月24日、2014年の国内融資額の増加率が、今年の予想増加率19.1~20.4%を下回る15.3~16.6%と減速するとの見通しを示した。中銀と政府が連携して実施する輸入抑制と金融引き締め策が景気減速につながるためだ。
 同総裁は経済安定化の最重要課題として経常赤字の縮小を挙げ、2014年には国民総生産(GDP)に占める経常赤字は2%以下になる見解を示した。年末までの銀行業界全体の融資額は3220兆ルピアで、14年は3720兆ルピアに増加すると予想している。また、融資額の増加率は減速するが、14年のGDP成長率は5.8~6.2%を達成できるとしている。

11月半ばに1ドル=1万ルピア台突破も ルピア高続く

11月半ばに1ドル=1万ルピア台突破も ルピア高続く
 インドネシア・ルピアの対ドルでの上昇傾向が続いている。銀行間の実勢為替取引レートは1ドル=1万1100~1万1200ルピアと、10月初めの1ドル=1500ルピアから2.6~3.5%切り上がった。また、株価も9月30日から6.1%上昇し、10月25日終値で4580.846を付け、順調に上昇している。
 米国の金融緩和縮小が年内には実施されないとの観測が強まり、期限ぎりぎりの10月16日に米国債務上限引き上げが実施されたことで、市場に安定感が広がり、株価上昇とルピア買いの動きが強まっているとみられる。市場では年内はドル安ルピア高の基調が続き1ドル=1万1000ルピア前後で推移するとの分析が大勢を占めている。ただ、11月半ばに1ドル=1万ルピア台突破するとの観測も上がっており、ルピア高がどの程度進むか注視が必要だ。

成長率6.0%,インフレ率5.5%に 2014年度予算案可決

成長率6.0%,インフレ率5.5%に 2014年度予算案可決
 インドネシア国会本会議は10月25日、政府が提出した2014年度予算案を可決した。主要指標は①経済成長率は6.0%で、当初の政府案の6.4%、今年度補正予算の6.3%から引き下げた②インフレ率は政府案より1.0ポイント高の5.5%とした③ルピア相場は1米ドル=1万500ルピアと5ケタ台に設定した④財政赤字が国内総生産(GDP)に占める比率を、政府案の2.02%から引き下げ1.69%に設定した。
 歳出は1842兆ルピア(約16兆3100億円)、歳入は1667兆ルピア。当初から歳出は7兆3000ルピア減らし、歳入は26兆8000億ルピア増やした。このほか、原油価格はやや低い1バレル当たり105米㌦(約1万200円)を想定し、原油とガスの日産量は政府目標のそれぞれ87万バレル、124万バレルを据え置いた。 

7~9月期の投資額が過去最高の100兆5000億ルピアに

7~9月期の投資額が過去最高の100兆5000億ルピアに
 インドネシア投資調整庁(BKPM)は10月23日、2013年7~9月期の国内外合わせた投資額が前年同期比23%増と過去最高の100兆5000億ルピアに達したと明らかにした。外国投資の伸び率は同18.4%増と3年ぶりの低水準にとどまったものの、国内投資が同33%増と好調だったことが下支えした。この結果、1~9月の投資額は239兆ルピアとなった。内訳は国内投資が94兆1000億ルピア、外国投資が199兆2000億ルピアとなった。今年の年間目標は390兆ルピア。BKPMは来年の総投資額の目標を今年(見込み)から15%増の450兆ルピアに設定している。

中国と韓国がインフラ投資加速しインドネシアへ急接近

中国と韓国がインフラ投資加速しインドネシアへ急接近
 中国と韓国がインドネシアの大型インフラ整備事業への投資を加速し、貿易拡大を目指して、ともにインドネシアへ急接近している。インドネシア経済にとって、これまで歴史的に日米の存在が大きかったが、中国・韓国が猛追し、その存在感を発揮しつつある。
 10月上旬にインドネシアおよびブルネイで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議、21カ国・地域)首脳会合、TPP(環太平洋経済連携協定、12カ国)首脳会合、さらに東アジア首脳会議(18カ国)の後、改めてジャカルタを訪問した韓国のパク・クネ大統領は12日、ユドヨノ大統領と会談し包括的な経済連携協定(EPA)の年内妥結を目指すことで一致した。そして貿易額を2020年に12年比で3.7倍の1000億㌦(約9兆5600億円)に増やす目標も確認した。
 中国の習近平国家主席もユドヨノ大統領と会談し、15年の貿易額を800億㌦に引き上げることで合意した。16日から9年ぶりに建設工事が再開されたジャカルタのモノレールやパルプ工場の建設など、計282億㌦の事業協力を巡る契約文書に調印した。
 そして、中国とインドネシア首脳会談の共同声明は、地域統合で、日中韓やASEAN(東南アジア諸国連合)など16カ国が参加する東アジア包括的経済連携協定(RCEP)が重要な役割を持つ-と明記された。米国が主導するTPPを警戒する中国の意向が強く働いたものとみられている。
 12年のインドネシア貿易額をみると、日米の合計は794億㌦、中韓の合計は781億㌦。そして今年1~6月は中韓が日米を14億㌦上回っている。