日系企業に安堵の声もセクター別賃金未定で予断許さず
インドネシアの日系企業の間で、全国の指標となるジャカルタ特別州の2014年の最低賃金の引き上げ幅が想定の15%を下回る10.4%だったことを受け、ひとまず安堵の声が広がっている。ただ、日系企業の多くが入居する工業団地のある西ジャワ州ブカシ県などの最低賃金が未定だ。したがって、同県に拠点を持つ製造業者を中心に、特定産業セクター別の最低賃金引き上げ幅が決まるまで予断を許さない情勢だ。
ちなみに、ブカシ県の2013年の自動車産業などのセクター1の最低賃金は240万ルピアだ。労組側が要求する50%が反映されたとすると120万ルピア増となり、前年の約40万ルピア増と比べ3倍もの大幅増となる。
伊藤忠商事 インドネシアで来春メドにツナ缶新工場
伊藤忠商事 インドネシアで来春メドにツナ缶新工場
日本経済新聞によると、伊藤忠商事は、はごろもフーズなどが共同出資するアネカ・ツナ・インドネシアの既存の東ジャワ州スラバヤのツナ缶製造工場の隣接地に近く新工場を建設、2015年にも生産能力を2倍に引き上げる。これまで全量を日本と中東向けに輸出していたが、国民の間で食の嗜好が多様化し購買力が高まっているインドネシア国内でも需要が見込めると判断している。新工場の生産能力は1日140㌧で、2014年にまず約3割増産し、15年にも倍増させる計画。
アネカ・ツナは1992年からツナ缶を生産しているが、昨年初めて中東向け輸出が日本向けを上回った。大半がサウジアラビアなどへのOEM(相手先ブランドによる生産)供給。中東各国では保存食として需要が拡大しており、増産分の多くを中東に振り向ける。
ニコンがインドネシア事業でデジカメで3割増収狙う
ニコンがインドネシア事業でデジカメで3割増収狙う
NNA.ASIAによると、ニコンは今年度のインドネシア事業の売上高を前年比3割増やす目標を明らかにした。今年2月に営業を開始した現地法人ニコン・インドネシアを通じて拡販する。需要が高まるコンパクトデジタルカメラで首位を狙うほか、レンズが交換できるミラーレス一眼デジタルカメラの強化で目標の達成を目指す。
コンパクトカメラでは「クールピクス」シリーズを通じて、2014年度に市場1位を狙う。昨年度はキヤノン、ソニーに次ぐ3位で、シェアは24~25%だった見込み。大きなシェアを握る一眼レフと合わせ、全国900カ所以上の販売網を通じて売り上げを増やす。9月には世界初の防水・耐衝撃のレンズ交換式ミラーレス「ニコン1AW1」を投入し、専用のレンズは2商品を販売。ケースなしで水中撮影などが可能なため、アウトドアやウオータースポーツでプロ向けのほか、防水コンパクトカメラの買い換え需要を狙う。インドネシアでは現地の提携先が現地生産する。
日本が国際仲裁請求へ アサハン・アルミ合弁売却交渉
日本が国際仲裁請求へ アサハン・アルミ合弁売却交渉
日本とインドネシアの共同アルミ製錬事業「アサハン・プロジェクト」の合弁会社インドネシア・アサハン・アルミニウム(イナルム)の株式売却交渉で、日本側が売却条件を不服とし、世界銀行の調停機関、投資紛争解決国際センター(ICSID)に仲裁を求める方針をインドネシア政府に伝えたことが分かった。11月1日、インドネシア政府が明らかにした。
イナルムの株式は国際協力機構(JICA)と住友化学など11社が出資する日本アサハンアルミニウム(NAA)が58.88%、インドネシア政府が41.12%を保有。10月31日の30年間の両者の合弁契約終了を前に、インドネシア政府は日本側の持ち分をすべて取得し、国有化する考えだが、イナルムの資産価値=株式の評価額を巡り、双方の主張が食い違い、交渉が難航していた。NAAは10月31日までに合意が得られなければ、国際機関に仲裁を求めるとの姿勢を示していた。
国営ガルーダ航空の1~9月連結決算は最終赤字に
国営ガルーダ航空の1~9月連結決算は最終赤字に
国営ガルーダ・インドネシア航空の2013年1~9月の連結決算は、最終損益が2204億円(約21億5900万円)の赤字となった。ルピアの対米ドル安の影響で営業費用が拡大したことが響いた。売上高は前年同期比12.6%増の26億8699万米㌦。このうち定期便が同10.6%増の23億5531万米㌦、臨時便は同48.6%増の8999万米㌦、その他が同23.1%増の4169万米㌦だった。営業費用は同16%増の26億6488万米㌦。
三菱UFJリースがインドネシアで自動車リース事業
三菱UFJリースがインドネシアで自動車リース事業
日本経済新聞によると、三菱UFJリースは、インドネシアで自動車リース事業を始める。現地大手のタカリを買収して合弁会社を設立。自動車の需要が急増する成長市場で法人向けサービスを展開する。きめ細かい保守管理など日本で培ったノウハウを生かし、数年で1万台規模の車両管理を目指す。海外での自動車リース事業はタイ、トルコに続く3カ国目。買収額は50億円超。三菱UFJが75%、タカリが25%出資して新会社を設立、11月から事業を開始する。タカリは約4000台の車を管理する現地大手。現地企業や政府系企業との取引が多く、日系企業に強い三菱UFJリースと組んで顧客基盤を広げる。
国内産業保護へカディンが卸売業界への外資規制求める
国内産業保護へカディンが卸売業界への外資規制求める
地元メディアによると、インドネシア商工会意義所(カディン)はこのほど政府に対し、投資規制ネガティブリスト(DNI)に卸売業を組み入れ、外資の資本比率を最大30%までに規制すべきだと、外資規制を求めた。カディンの国内貿易部会長によると、これまで卸売業への規制がなかったため外資が自由に参入し、国内産業に打撃を与えているという。多国間貿易協定により、完全には参入を禁止できないため、インドネシア経営者協会(アピンド)とともに、一定比率の規制を経済担当調整相事務所や商業省、投資調整庁(BKPM)に求めていく。政府は外資の資本比率上限70%を提案している。
インドネシアは4ランク下げ120位 世銀ビジネス環境調査
インドネシアは4ランク下げ120位 世銀ビジネス環境調査
世界銀行と傘下の国際金融公社(IFC)が世界189カ国・地域を対象に事業環境を調査した2014年版の年次報告によると、インドネシアは事業環境が良い国・地域の総合順位で前年の116位(最新基準で調整)から4ランク下げ120位だった。タイヤマレーシアなど他の東南アジア諸国連合(ASEAN)と比べて評価が低い状況から脱却できなかった。事業開始の手続き簡素化など投資環境に改善を要する点が数多く、引き続き大きな課題となっている。
調査は起業、建設許可、資産登録、投資家保護、納税、対外貿易、契約順守、事業清算、電力確保などの項目について世銀が各国・地域の政府関係者、コンサルタント、エコノミストなどの協力を得て毎年実施している。調整後の順位と比較すると、インドネシアは電力確保(121位で前年と変わらず)を除くすべての項目で順位を下げた。事業開始が175位、契約順守が147位などとなった。ちなみに、1位シンガポール、2位香港は前年と変わらず、日本は前年の23位から4ランク下げ27位だった。
日立物流が物流需要増見込みジャカルタに現地法人設立
日立物流が物流需要増見込みジャカルタに現地法人設立
日立物流はこのほど、インドネシアのジャカルタ市内に現地法人を設立し、10月から本格的に営業を開始したことを明らかにした。新たに設立した現地法人は「ヒタチ・トランスポート・システム・インドネシア」で、資本金は約11億円。日立物流子会社のヒタチ・トランスポート・システム(アジア)が90%、日立物流が10%出資した。
インドネシアにおける日系製造業の進出先は、これまでの西ジャワ州から、地価の高騰により東ジャワ州、中部ジャワ州などへも広がりをみせている。これに伴い、日用品の小売りはじめ、自動車関連業界などの海外展開を進める顧客の物流ニーズが今後一段と高まることが見込まれるため、現地法人を設立し、きめ細かく対応することにした。
日本駐車場開発が立体駐車場の現地販売会社を買収
日本駐車場開発が立体駐車場の現地販売会社を買収
日本駐車場開発(大阪市北区)は10月29日、インドネシアで現地の立体駐車場の販売会社を買収すると発表した。これにより、同社は主幹事業の駐車場の運営・管理・コンサルティングに加え、販売からの一貫体制を構築し、今後3年で60カ所への納入を目指すとともに、他国での事業展開にもつなげる考えだ。同社が立体駐車場の販売を手掛けるのは初めて。
タイのグループ会社ニッポン・パーキング・デべロップメント(タイランド)を通じ、サン・シファ・ニッポンインド(SSN)の株式60%を年内に取得する。SSNはインドネシア国内で工事期間の短い組立型の自走式駐車場の販売で、同国の駐車場需要の増加に応えてきた。インドネシアではジャカルタおよび地方都市部で、自動車台数の急激な増加に交通インフラの整備が追い付いておらず、ジャカルタ首都圏を中心に駐車場の需要が高まっているため、日本駐車場開発は今後立体駐車場の需要が拡大すると判断、今回SSNを傘下に収めることを決めた。