東南アジアのLCC根付くもパイロット争奪戦必至

東南アジアのLCC根付くもパイロット争奪戦必至

 東南アジアで格安航空会社(LCC)が“生活の足”として根付き始めているが、LCCが空の主役である続けるためには、拡大や増便に見合うパイロットの確保が先決だ。

 国際民間航空機関(ICAO)の予測によると、アジア太平洋地域では2030年時点で航空需要を賄うのに年間1万4000人のパイロットが必要。しかし、実際養成できるのは5000人弱どまり。その結果、パイロットの争奪戦が繰り広げられることになる。そうなれば、東南アジアのLCC航空各社が打ち出している拡大路線も計画修正を迫られる恐れがある。

    安全性も問われる。訓練不足のパイロットをどれだけ揃えても対応できないのだ。13年4月、インドネシアのライオン航空のボーイング機がバリ島そばの海上に不時着したのがいい例だ。

インドネシアで効果が上がらぬ人材育成に懸念広がる

インドネシアで効果が上がらぬ人材育成に懸念広がる

 インドネシアで予算投入に注力しているにも拘わらず、効果が上がらない人材育成に懸念が広がっている。同国政府は2014年の国家予算約1800兆ルピア(約16兆200億円)の2割強に相当する368兆9000億ルピアを教育関連に充てるなど人材育成に注力する姿勢を示しているが、効果が上がっていないとの指摘が後を絶たない。ジャカルタ・ポストなどが報じた。

 同国のブティオノ副大統領は「雇用者側は人材確保に苦しんでいるという報告が増えている」と述べ、市場が求める人材を供給できなければ、持続的な経済成長は望めない」との懸念を表明している。国際労働機関(ILO)は2013年の報告書で、インドネシアの労働市場について「教育が十分に施されていないために、求人要件を満たさない労働者が多い」と指摘。単純労働などの雇用が増加している一方で、大卒のレベルの採用数は横ばいが続いていると解説している。

 米調査会社ボストン・コンサルティング・グループによると、同国の該当年齢者の大学在籍率は20%とブラジルや中国など他の新興国と比較して低い。同社はこのままではインドネシアが20年までに深刻な人材不足に陥る可能性があると警鐘を鳴らしている。インドネシアは高等教育の内容などにも問題を抱えている。英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが毎年発表する世界大学ランキングの最新版で、上位400位以内に入ったインドネシアの大学は360位のガジャマダ大学、369位のバンドン工科大学、395位のインドネシア大学の3大学のみだった。

「反中国」ベトナム暴動拡大400社被害、700人拘束

「反中国」ベトナム暴動拡大400社被害、700人拘束

 ベトナムで中国による南シナ海の石油掘削に抗議する反中デモが暴徒化し、全土に広がっている。デモは12日夜から南部のビンズオン省の工業団地で始まった。当初は平和的な抗議活動だったが、徐々に投石などにエスカレート。13日夜には中国系工場への放火も。南部のホーチミン市などに広がったデモは、14日に中部ハティン省などに飛び火。計画投資省では63市省のうち22市省でデモが発生し、約400の企業が襲撃されたと報告している。

 現地メディアによると、ハティン省で14日、台湾プラスチックの製鉄所建設地が標的にされ、同社の敷地にデモ隊数十人が侵入。ベトナム人労働者約5000人を引き連れ、現地で働いていた台湾人や中国人労働者ら1000人を襲撃したという。

 ベトナム当局は暴動を起こした約700人を拘束した。経済活動への影響も懸念されるが、敵対する中国への抗議行動だけに、ベトナム政府は対応に苦慮している。

サイバー犯罪対策でASEAN支援 相互連絡体制構築

サイバー犯罪対策でASEAN支援 相互連絡体制構築

 日本政府は、サイバー犯罪対策で東南アジア諸国連合(ASEAN)各国への支援を強化する。今年度中に日本と域内各国のサイバー対策を担う担当部署の相互連絡体制の構築を目指すほか、年内には日本のアニメーション技術を活用したサイバー犯罪防止などの啓発アニメを各国に提供する。

 相互連絡体制はタイ、マレーシア、カンボジアなど加盟10カ国のどこかでサイバー犯罪が起こった場合、被害状況や犯罪の手法などを瞬時に加盟国間で共有するもの。日本政府は秋までにASEAN加盟国と共同訓練を実施する方針。10月に東京で開催予定の日・ASEANの情報セキュリティー局長級協議で成果を確認したうえで、今年度中の連絡体制の立ち上げを決めたい考えだ。日本経済新聞が報じた。

進出企業の7割が人件費上昇を懸念 みずほ総研調べ

進出企業の7割が人件費上昇を懸念 みずほ総研調べ

 みずほ総合研究所のアンケート調査によると、東南アジアに進出する日本の製造業の7割強が人件費の上昇を懸念していることが分かった。今回の調査は2月に実施されたもので、東南アジアに進出する製造業212社を対象に、今後2~3年間でビジネス上の懸念材料となる事柄を選んでもらった(複数回答)。

    最も多かったのは「人件費の上昇」で72.2%。前年度調査に比べ約4ポイント増えた。13年度はとりわけインドネシアで最低賃金の大幅引き上げがあった。今回調査で選択肢に加えられた「政治・社会の混乱」は54.7%。タイの政治混乱が現実味のあるものとして想起されたとみられる。

     一方、今後最も力を入れていく地域として東南アジアを挙げた企業(1081社が回答)は45.1%。前年度調査とほぼ同水準で、国・地域別で首位を保ち、引き続き東南アを最重要地域として位置付けていることが分かった。

中国が南シナ海で実効支配強め強気姿勢崩さず

中国が南シナ海で実効支配強め強気姿勢崩さず

 中国がフィリピン、ベトナムなどと領有権争いを抱える南シナ海で、軍事力を背景に実効支配を強めている。ベトナム沖で中国の国営会社が石油掘削作業を強行したほか、南シナ海の暗礁を埋め立て、滑走路のようなものを建設していることも表面化した。東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳が結束し、中国に対する「深刻な懸念」を表明した後も、強硬姿勢は全く変わっていない。

 中国は南シナ海のほぼ全域の領有権を主張しており、この主張を放棄することは考えにくい。南シナ海は原油や天然ガスなど豊富な資源を埋蔵し、同時に中東から中国本土に石油などを輸送する際の海上交通路(シーレーン)にもあたる。今後エネルギー需要が急増する中国にとって生命線になりつつあるのだ。

 中国がこの時期に強硬姿勢を一段と強めた背景には、米国のアジア政策が絡んでいる。4月にオバマ大統領がアジアを歴訪した際、中国をけん制して回る一方で、随所に中国への配慮もみせたからだ。中国各紙は、オバマ大統領が日本で尖閣諸島の問題で「領有権を巡る決定的な立場は示さない」と述べたことを大きく報道。このオバマ大統領の配慮こそが中国を勢いづけた面があると指摘する声が多い。

 米国は当面、中国との決定的な対立を避けるに違いない、というのが中国側の読みだ。そこで、米国の反応が鈍ければ、中国が今回の南シナ海での摩擦を口実に、かねて示唆してきた南シナ海での防空識別圏(ADIZ)の設置に踏み切る可能性も出てくる。日本をはじめ、ASEAN諸国も国際法のルールに基づいた協議で解決していくことを説くが、米国の出方次第では、全く妥協の余地はないと強行する中国の行動に、果たしてブレーキをかけることができるのか、甚だ心許ないといわざるを得ない。

 

旅客船事故から1カ月 政府不信 韓国社会に大波紋

旅客船事故から1カ月 政府不信 韓国社会に大波紋

 韓国で起きた旅客船「セウォル号」の沈没事故から5月16日で1カ月・死亡・安否不明者が300人を超す大惨事は、今も社会に大きな波紋を広げている。責任追及の動きは海運会社や船長にとどまらず、官民の癒着構造に向かい、ますます波紋を広げ、政府不信、ひいては大統領の指導力に疑問を投げかける見方も出てきている。また、この事故により国内を覆う自粛ムードが景気全体に与える悪影響を危ぶむ声も出てきた。

 韓国当局は、すでに船長と運航担当の乗組員ら計15人を逮捕。不作為殺人罪のほか、遺棄致死罪などの容疑で近く起訴する方針だ。だが、これは事故解明のほんの入り口に過ぎない。運航会社のオーナーはじめ、船体の安全検査や運航前の点検を担当した機関や組合など、突き詰めていけば官僚の天下り問題や不正資金疑惑が取り沙汰され、どこまで事態解明のメスを入れればいいのか。今回の事故を起点に疑惑が疑惑を呼ぶ展開だ。しかし、完全にウミを出し切るところまで実態解明を徹底しなければ、遺族が、そして多くの国民が納得しないだろう。

ベトナムで「反中国」の波拡大 日系企業にも被害

ベトナムで「反中国」の波拡大 日系企業にも被害

 南シナ海での中国の石油掘削作業強行に端を発した、中国とベトナムの艦船衝突を受け、ベトナムで「反中国」の波が拡大している。南部ビンズオン省で中国に抗議するデモ隊約2万人が暴徒化。複数の中国系工場が放火され、一部の日系企業も巻き添えを食って操業停止を余儀なくされた。また、中国製品の不買運動も始まり、地域の製造業のサプライチェーン(部品供給網)に影響が及ぶ恐れも出てきた。日本経済新聞などが報じた。

 デモ隊は13日夜から14日にかけて、同省の工業団地で中国系工場の窓ガラスを割ったほか、敷地に侵入して備品を略奪。香港系縫製工場など少なくとも15工場に放火した。日系や台湾系、韓国系の工場でも被害が発生。建物の漢字表示が中国系工場と同一視され、巻き添えを食ったとみられる。日系は6工場が投石被害などを受けた。14日は多くの工場が社員の安全確保のため、操業を休止したもようだ。工場に日本国旗を掲げるなどしてデモ対策に乗り出した企業もあった。

 デモは近隣のドンナイ省やホーチミン市に広がり、現地メディアによると、約630人が拘束された。同市の日本人学校は15日の臨時休校を決めた。デモは北中部にも広がっている。

 首都ハノイ市のコンビニエンスストアは店頭に「中国製品は売りません」と掲示。中国製の文房具などが棚から消えた。観光地では中国人観光客を敬遠する動きも目立ってきた。南部のリゾート地、ニャチャンのホテルでは「中国人にはサービスを提供しません」と書いた紙を入り口に掲げ、事実上、宿泊を拒否し始めたという。

 

ミャンマーで3年で外国人500人超が国外退去処分

ミャンマーで3年で外国人500人超が国外退去処分

 ミャンマーで2011年3月の民政移管後、この3年間に累計で500人を超える外国人が国外退去処分を受けていたことが分かった。地元紙セブンデーによると、不法入国・残留の外国人が増えているほか、滞在中に違法行為を働く外国人もいるためだ。不法入国で国外退去を命じられるのは中国人が最多。滞在に必要なビザを持たずに陸路を通じミャンマーに入国しようとするケースが多いという。

出口調査は野党勝利を予測 インド総選挙16日開票

出口調査は野党勝利を予測 インド総選挙16日開票

 インドの約1カ月にわたる総選挙(下院選)の投票が5月12日終了し、16日に一斉開票される。ビジネス・スタンダード(電子版)によると、複数の出口調査では最大野党のインド人民党(BJP)率いる国民民主連合(NDA)の、野党連合が争っている543議席のうち過半数を取得して次期政権に就く見通しだ。BJP単独では249議席で過半数を握れないものの、1998~99年の総選挙で取得した過去最高の182議席を大きく上回るとの予測もある。一方、国民会議派(INC)を中心とする現与党の国民進歩連合(UPA)の議席数は、大きく後退するとの見方が多い。

 過去最大の約8億2000万人が有権者となった今回の総選挙は、現政権の汚職や停滞する国内経済の改革・改善に向けて国民の関心が高まり、投票率も過去最高の約66%を記録した。